ポケモンGOと反原発テント

先日、夜9時くらいに霞が関を歩いており、たまたま反原発テントの付近を通りました。

そういえばまだ反対運動をやっているんだね、と気にかかり中をちらりと見てみると、ちゃんと人が座っていて、えらいもんだと思いました。しかしながら、テントの周りには、いかにも社会運動をしそうな人たちですが、集まってもせいぜい数人というレベル。これでは社会的なインパクトには欠けるよね、と寂しく思って通り過ぎました。

その後、日比谷公園に立ち寄りました。園内には100人を軽く超える人達が集まって、みなさん、もの静かに立っておりました。何をやっているのだろうと観察すると、明らかにポケモンGO、ポケモンの出現待ちです。日本だけではないと思いますが、現代社会はどうなっているのか、ということを考えてしまいました。つまり、生活に長期的に影響するような問題は忘れ去られて、福島の事故の影響なんてまるでないかのように、もう全部大丈夫だよと思っているかのようです。福島ブランドとしてお店で食品が売られていることも時々見かけます。議論というものが生じないのは、メディアのせいでもあるかも知れないけれど、国民的な関心はもう原発問題には全く向けられていないのでしょうか。そんな状況下、テントのなかで静かに戦っていた少数の人たちは、公権力によってテントが撤去され、排除されました。原発問題とポケモン、関心のもたれ度合いは対照的、そこもまた寂しいです。

マイナス金利がもたらす問題

今回は、マイナス金利がもたらす影響について考えてみます。シンプルに言うと、金利が安ければ、企業は安く資金を調達できるため、利益をあげやすくなります。

不動産を例に考えてみましょう。例えばビルを買い、そのビルを貸出します。自分が5%の金利を払い、10%の利回りが家賃で得られるとします。そうすると、自分には5%の利益が残るということになります。もちろん、競合が出てくるため、5%の金利支払いに対し、6%~7%の家賃、サヤが1~2%しかないということは生じますし、完全競争の状況になれば、限界利益が0になるという事態にもなります。不動産の限界利益は、租税負担、物件の値上がり期待などにも影響されるので、例としてはややこしいものを出してしまいましたが、要は収入が支出を上回れば利益になるので、金利が安ければ支出が減り、利益をあげやすくなります。

今、日銀はお金を大量に供給し、金利が低くなっています。経済学的に、お金の供給が増えれば、お金を必要とする人たちが経済活動をしやすくなるので、経済は活性化します。ただ、これまで金利5%で資金を調達していた人たちが、マイナス金利の導入で、金利1%で調達できるようになると、事業を続けるためには2%の収入でも成り立つようになります。よって、プレイヤーの数は増えますが、低金利のなかでも競争原理が働き、限界利益が0に近づくまで、下がっていきます。

超低金利の状況下では、事業のハードルが低くなるので、過当競争が生じやすく、たくさんの人がたくさん働いているけれでも、あまり幸せな人がいない、となってしまわないかと、心配してしまいます。ROIつまり投入資金に対するリターンが非常に低く、マージンが1%しかないとしても、サイズを大きくすることで量を稼げます。大きな投資のできる人、資金調達しやすい人たちは、何とか望みの利益額を確保できます。ただ、最終的な利ザヤが限界に近づいていると、労働者の賃金があがらず、需要の活性化に結び付かないし、たくさん働いているわりには、収入が上がらず、幸福度も上がりません。つまり、マイナス金利でお金をいくら出しても、限界利益の高いビジネスが創生されてこないかぎり、供給過多による限界利益の低下からデフレをつくっている状態に陥る一方なのではないでしょうか。借り入れできれば、お店を出すのは簡単になるけど、高くても客がくる差別化された魅力もしくは多店舗展開による絶対額の確保がないと、すぐに競争相手も出てくるし、忙しい割には儲けが少なくて、これならやめてしまおうという人も多いのではないか、という感じです。

これには出口が必要、それは奇跡的な大幅生産増がひとつです。人口が減少する中、経済にまともな影響を与えるくらいの移民が入らないかぎり、輸出増しかないでしょう。国内の需要に依存していては、上述の競争の原理から、薄い利幅の分だけ、十分な利益額を得ることが難しくなります。

AIのようなイノベーションが起きるか、人口増のような需要増が生じてこないと、金融政策では、みんなが喜ぶ顔がなかなか見れないんじゃないか、と心配しています。

日本国債とマイナス金利について

先日の国債の話と関連しますが、日本の財政リスクについて整理をしてみます。日本には財政リスクがあると良く言われますが、僕はイタリア、ギリシアのようにはならないと思っています。なぜなら、日本では、日本国民が全ての日本国債を持っているからです。

日本国債を直接引き受けているのは民間銀行、保険会社、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)ですが、保険会社も銀行も、もちろんGPIFも最終的には日本国民個人のお金を運用しているのです。ですから国債の格付けが落ちて、取り付け騒ぎが発生するという、リスクは小さいでしょう。ただ問題は高齢化です。

人は年齢を重ねるとともに、老後のためのお金を貯蓄します。最も貯蓄率が高いのが40歳のときで、生涯の中で所得が最も高く、自分の未来に対して貯蓄しなければならない時期です。これは20年前も今も変わりません。実は日本における貯蓄率は下がってきています。70歳~90歳という高齢まで貯蓄を切り崩して生活しているため、日本国民全体で貯蓄が減り始めているのが問題です。これによって何が起きるかというと、発行済の国債(負債)のサイズを縮小できなければ、新規国債を発行する際、上述の日本国民の預金が不足します。そうするとミスマッチが発生し、企業に例えると有利子負債、国の場合では国債額を減らすか、ガイジンから借りるかしかなくなり、最終的に極めて不安定化して、ハイパーインフレになるかもしれません。そうなる前に恐らく、定年は70歳または75歳になっているでしょう。

一番大きな問題は、人口減少と貯蓄の切り崩しにより、日本国債の山をサポートする人数×貯蓄額が縮小することです。国債はもちろん年金などにも使われていますが、一番は金利を払うために使われています。

今は、マイナス金利で新しく発行した国債の金利が低いため、国としての金利支払いの負担が減るという現象が起きているのです。つまり、国債の発行者から見ると、もともと金利を沢山支払う必要がある重い資金調達を、非常に軽いものに入れ替えているのです。全体的な負担が増えないように見えていますが、国債の発行額をどんどん増やしていっても、ハイパーインフレにならないようコントロールできるのでしょうか。

マイナス金利で、国債の金利支払いを減らせたとしても、国債をサポートする母体の縮小に対して有効な解決策がなければ、財政リスクの低減は難しい問題だと思います。

三菱東京UFJ銀行のプライマリー・ディーラー返上について

三菱東京UFJ銀行がプライマリー・ディーラー(国債市場特別参加者)の資格を返上した、というニュースを興味深く思いました。報道された内容は「国債の消化が難しくなり、日銀の政策に影響を与える」という内容です。

僕にとって、このニュースは違う意味で重要なものに見えました。国債の消化が難しいということよりも、この返上は日銀に対し、いい加減にしなさい、という銀行業界からの反抗に見えます。日銀と民間金融機関が二人三脚で日本の金融を支えてきましたが、最近の黒田総裁の一連の発言は、「銀行のための金融政策ではなく、日本全体のために政策を行っている」という趣旨でした。つまり、銀行の役に立つとか、銀行が儲かるために政策をするのではなく、日本経済を支えるために金融政策を行っている、とのことです。今回のニュースは、正にこの政策に対する銀行業界としての初めての公の反発・反論です。勝手な想像ですが、業界の親分による仲間を代表する行為、と思われます。

日銀は元々非常に保守的な組織だと言われています。クロダノミックスは、ある意味で今までの保守的なスタンスと大きく乖離したことで、総裁に対して、銀行界だけでなく、日銀関係者の間にまで、不満が高まっていたものと推測します。MUFJは事業上の合理性を訴えていますが、日本では、ああいうとき普通、裏で打ち合わせをして物事を進めるという文化でしょうから、今回、公に返上したという動きは、非常に象徴的な出来事だと思いました。

今回の「アベノミクスドラマ」の最後の舞台は、「アベノミクスの失敗」ではなく、「黒田総裁の失敗」に責任を帰する方向に行くのではないかと懸念しています。つまり、無責任な金融政策で大変なことが起きた、ということ、彼がマイナス金利を導入しなければ、もっといい経済政策ができていたはずだ、というシナリオで話が展開しないかと心配しています。

今回の返上は、黒田総裁に責任を負わせて終わりにする、という流れに直結するまでには至らないと思いますが、明らかに彼の立場は難しくなってきています。もともと独立機関として動いているはずの日銀が、今回、以前より明らかに、政府と共に政策を行う方針を採っています。これは黒田総裁の大きなチャレンジというか、ある意味で勇気ある行為です。ただ、従来の日銀と比較すると、悪く言えば、いろんな原則を台無しにしたとも言えます。これに対して銀行業界にも複雑な思いがあるので、全体的な状況が危うくなるのは間違いなかろうと思います。

日本の財政問題と世界経済

昨年度の財政と比べると、今年度の財政を大きく増やすことは結構難しいでしょうね。

国債を発行するのはひとつの手ですが、財政に対して日本国内のコンセンサスができていないので、思い切ったことをするのはまず無理でしょう。今なら円高の状況の中で、消費を刺激しなければいけませんが、新しい政策では短期的に消費を刺激することはできても、消費を先食いするだけにとどまってしまい、長期的どころか、来年ですら大変なことになってしまいます。それに対する国民の意識もデフレマインドになり、経済が悪くなるんだろうというネガティブな期待をつくってしまう可能性があるように思えます。

財政的な話でリスクを伴うことしか聞こえてこないので、熊本地震への対応も含め、安倍首相に対して国民が一定の評価をもっていることから考えてみても、2つの選挙を同時に行う可能性が高くなったのではないかなと思います。もし憲法改正という話にでもなれば、与党内で大きな妥協をすることになりえますから、いろいろなエネルギーを割かざるをえず、経済政策は犠牲にされる可能性があります。

世界経済をみてみると、アメリカの経済指標は悪くはないものの、そんなに良くもないよね、というコンセンサスですから、アメリカが一国で世界を支え切れるわけもない状態で、アメリカ経済がこけ始めたら、みんなで一気に沈んでしまいます。

ヨーロッパについては、ギリシャ問題が再浮上してきており、移民問題が極めて大変な状態でもあるので、全然調和がとれていません。イギリスがEUを離脱すれば、ヨーロッパが不安定になる可能性は高いでしょう。イギリスのEU離脱が、一つのボラティリティを作り、イギリス自身やヨーロッパ各国もネガティブな影響を受けるような気がします。

上記のようなリスクがあるため、今は全面的にダウンサイドリスクに見えますが、どうでしょうかね、オレグの見方は。

日本政府の為替介入と米国大統領選

今回は、円高についてです。
日銀をはじめ、日本の経済界、政府も120円/ドルが心地よい水準だと思っています。
ある筋から聞いた話ですが、日銀がマイナス金利を発表したときには120円/ドルにいくだろうという想定が強かったようです。

結果、120円/ドルにはなっていませんが、これはドル安に動いているからだというのが一般的な見方です。このドル安ですが、110円/ドルならでも十分に介入したくなる水準。105円/ドルになれば、相当積極的に介入したくなる水準。100円/ドルであれば、まあもう我慢できない、絶対に介入したくなる水準だと思います。

ですから、今の107円/ドル付近だと、麻生大臣をはじめとして介入に対する発言が相次いでいます。

ただここで問題があります。アメリカ大統領選で、民主党のトランプ氏が候補として固まりました。トランプ氏は日本に対しても、仕事とお金を米国から奪っている国だとコメントしています。これは、完全な憶測になりますが、アメリカ政府としては、円安ドル高に向けて日本と協調する動きをとることは、大統領選の空気を読むと、非常に難しい状況なのだろうと思います。

ヒラリー氏がトランプ氏と選挙戦を戦う際、日本が通貨を弱くして、仕事がアメリカから日本に移ることに拍車をかけているのではないか、という議論になる可能性もあります。アメリカは、日本が円高で困っているのはわかっているものの、アメリカとしては、大統領選挙の争点や時期を鑑みると、当面の間、緩やかなドル安が望ましいのでしょう。

この憶測が正しければ、日本は非常に困った状態にあるはずです。アメリカのサポートがなければ、介入しても長続きせず、混乱を引き起こすだけです。105円/ドルで日本政府が介入して、120円/ドルに戻ったとしても、アメリカが円安は困る、という発言をすれば投機的なフローが、円高の方に圧力をかけたりして、介入による円安効果をすぐに押し下げる可能性が強そうです。

安倍さんがヨーロッパに行ってきたのは、もしかして、ヨーロッパを日本サイドに引き込み、ヨーロッパも日本も、世界経済を考えればお互いに通貨安をつくらないといけないよね、と訴えようとしているのではないかなとも思えます。

僕はもともと115円/ドルくらいで、日銀も必死に動こうとすると思っていましたが、今回は日銀が動きませんでした。これは、もしかして政治的な日米関係で、タイミングに無理があると思ったのではないでしょうか。短期的に、政策の限界を感じておとなしくせざるをえないのでしょう。

そうであれば100円/ドル近辺が安定した新レートになり得ます。105円/ドルにも戻らないというようなことになると、日本企業の業績としてはけっこう厳しい話になるでしょう。

去年は112~113円/ドルだったので100円/ドルというのは楽な話ではありません。となると、日本ではデフレ論が再浮上したりして寒い夏になりそうな気がしますね。

足もとの株式相場予想

現在の株式相場ですが、このところのしっかりした状態は3カ月も持たないんじゃないかな、という気がします。12月から5月にかけて、例年によくある上昇相場が今年はなかったゆえの、遅れ気味の4月~5月にかけての相場上昇、というところかと思っています。

前のブログにも書きましたが、それぞれの国で多少のバラつきはあるものの、結局はグローバルエコノミーなので、一つのサイクルで見た場合、つまるところ株式市場のリターンはどこも同じで、似たようなチャートになります。

現状では、どちらかというと、少しドル安、かつアメリカ経済が堅調だという分だけ、少しだけアメリカがアウトパフォームする可能性はあります。

これに対して、現状ではギャップが大きくなっています。このギャップは、もちろん為替と言えますが同通貨に変換したチャートで見てもまだ開きがあります。この開きは、二つの動きでしか収束されません。

アメリカ市場が下落して調整する、あるいは、早くから下落していた日本市場がアメリカ市場にキャッチアップしていく、のどちらかです。

僕の予想としては、どちらかといえば、日本が何%かキャッチアップして、あとは為替次第だろう、と思っています。マイナス金利宣言がやっぱり期待外れだったことを踏まえて、政府が今の時点でアグレッシブに為替調整に出るかどうかは微妙ですが、ただ、日本もアメリカも通貨戦争はしたくないと考えているので、介入せずになんとか110円/ドルくらいのレベルで落ち着かせることになるんじゃないかと思います。日本政府は、105円/ドルまでいってしまえば介入してくるだろうと思います。そうなれば輸出系企業が強いでしょうね。

GW明けまではどちらかというとアップサイドリスクかなと思っていますが、業績予想が出始めるとネガティブサプライズが多くなりそうです。

短期的な相場予想として5月中旬までは上がるものの、その後は上にはいかないんじゃないかと思います。以上、オレグ総合研究所の予測でした。

TPXvsSPX

日本の経済政策は諦めかな

先日の安倍首相の記者会見で経済政策をやります、ということを言っていました。ただ、よく聞いてみると、公共事業はいつも通りの様子。道路、橋、港をキレイにすることは素晴らしいことだとは思いますが、それ以外の主な政策が何かというと、笑ってしまいます。

その一、国民に現金支給
その二、国民に現金支給
その三、国民に現金支給

これを選挙前に行います。もちろん野党には同じ事ができない芸当です。納税者のお金を使い、ほぼ現金で配って支持率を維持する、という考えが透けて見えます。

少し風邪気味ですので、ひょっとしたら僕の分析力が落ちている可能性もありますが、現金のバラマキ以外に何も見えないんです。

まさかと思ったのは、プレミアム商品券です。以前、エコカー減税で、国内の自動車市場を壊したじゃないですか。その経験則に鑑み、プレミアム商品券の実施で何が起きるかというと、今買わないと割引にならないので、みんなが欲しいものを買います。当然、高額商品を中心に消費が盛り上がりますが、来年、再来年はどうなるんでしょう。今買うべきだから買うという訳ではなく、前倒しの消費なので、消費サイクルを狂わすことになり、次の年は消費が落ち込むことになるでしょう。そんな中で消費増税を行うらしいですが、消費が落ち込むのに増税を行えば、どうなるかは目に見えていますよね。

消費税率を上げないと財政問題の解決が不可能だということは、みんなわかっていることです。ただここでは、増税を後倒しするのが正しいように思います。財政政策としてやらなければいけないのは確かなんですが、全ての政策を中途半端にやるのは、中途半端に抗生物質を飲むのと同じような感じです。

本来ならウイルスの強さと同じ分だけ薬を飲まないといけませんが、1日だけ摂って2~3日は何も飲まずに、その後また抗生物質を摂っても、ウイルスが強くなるだけで、効かないんですよね。

日銀の方は背水の陣でベストをつくし、金融政策を精一杯やっているというのに、政府の財政政策はもう諦めなのかな、という感じにしか見えないです。

マイナス金利

ビジネススクールのINSEADに入った時、もともと金融関係の知識がほとんど無かった僕には、一番ためになって、迫力あるコンセプトと感じたのは「現在価値」でした。

現在価値というのは、適切に使えば会社の価値、お金の価値、ビジネスの価値がわかるので、ロジカルで面白いものです。このコンセプトのもとにあるのが、「今日の1万円と1年後の1万円のどちらが欲しいか」という話です。合理的な人であれば、大半は「今の1万円がいい」となるかと思います。今もらわず、1年待って1万円をもらうということに対して何らかのご褒美がなければ、1年後の1万円を選ぶ人は少ない。そのご褒美が金利です。

マイナス金利の今。経済学者的・計量経済学的なアプローチで、ECB(ヨーロッパ中央銀行)に続き、日銀もマイナス金利の導入に踏み切りました。世の中がホントにおかしくなるのではないかと懸念するべきでしょう。マイナス金利になると、今の1万円でなく、1年後の1万円の方がいいという理屈になります。つまり、貯金したら罰金が課せられます。すごく不思議なコンセプトなのです。現在価値が逆さまになります。もちろん、意図としては、「そんなことなら今お金を使おうぜ」という気持ちを企業や消費者にさせ、経済を刺激し、決定的なデフレ脱却をさせるのが狙いです。理論としては分かりますが、個人は消費するのではなく将来を心配して消費を抑え、企業は競争している限り、製品を過剰供給し、資本に対するリターンを下げる、という結果にならないでしょうか。

現時点ではまだ、国の金利(公定歩合や日本国債など)がマイナスになる一方、企業ローンや個人ローンなどは(リスクがある分)、マイナスにはなりませんが、限りなくゼロに近づきます。ただ元本を返す能力は大して変わらないため、ゼロ金利・マイナス金利でも、お金を借りられる人・企業の数がそのまま推移することでしょう。つまり、お金を借りる必要がない人が、より安く借りられるようになりますが、もともと要らないでしょう! では、お金をジャブジャブに供給にしても経済効果があるのでしょうか。上述した理論のような効果があるすればリターンの低下となり、効果がないとすれば、なんで導入するの?という疑問が浮上します。

その答えはECBのドラギー総裁が出しました。2016年3月10日の記者会見では、「効果があるかどうかについては議論できるが、やらなければもっと早く、もっと酷くなったに違いない」といった趣旨の発言をしました。(記者会見の完全放送バージョンをご覧ください、議事録は編集されています。)つまり、政治的にはヨーロッパも日本もあまり動けないので、中央銀行が肩代わりをするということですが、金融政策だけでは経済が良くならないと思います。片翼だけで飛行機を離陸させるのと一緒でしょう。飛べませんよね…

北方領土と総選挙

安倍首相はプーチン首相と会談したいようですが、これは総選挙前に北方領土問題を解決したいからではないか、と思っています。もし、解決ともなればアベノミクスはともかくとして、政治的には非常に盛り上がります。この盛り上がりの勢いを総選挙に回すことで、慰安婦問題、領土問題を終了させた首相として支持を高め、このタイミングで総選挙、そしてすぐに憲法見直しのための国民総選挙、を実施しようという目論見ではないでしょうか。日本の政治の専門家でもない僕ですが、最近このように感じています。

ちなみにリマインダーとして、以前ブログの中で紹介した内容を改めてまとめますね。

北方領土のうち2島を返還する条件に、「大量の天然ガスのロシアからの購入」、を提案するというのが僕のアイデアです。日本はもちろん4島返還を望んでいます。ただロシアは、2島返還までの話はする可能性はあるけどそれ以上なら応じられない、というスタンスはずっと変わらないんじゃないか、と思います。ということであれば、残りの2島に関しては、漁業資源特区といった自由特区にして、日本とロシア双方の旗を揚げ、50年後あたりで、静かに日本に返還します。ロシアとしては、資源を大量に売ることができたうえに、50年も占有していなかった島を、あとでそっと渡してあげることくらい、そんなに国民感情を刺激することでもないだろう、と思います。これならば、事実上は日本の領土になりますよ、と日本側は宣言できますし、ロシア側でも全部は返していないからね、と言えます。ひょっとすると、この話は実現するかもしれないな、とひとりで勝手に想像しています。ま、あまり期待せずに静観しています。