大塚家具の騒動から親族経営のリスクを考える

今回は親族企業におけるガバナンスについてお話します。

ガバナンスとは何か、ということが大塚家具の騒動で浮き彫りになりました。今回の大塚家具の件には、世代交代中のガバナンスについて考える材料がありますし、類似事例は他にもたくさんあることでしょう。この事例は単純な話ではないし、簡単な答えがあるわけではありません。

もし大塚家具が委員会設置会社であったなら、良いか悪いかは別として、ガバナンスをきかせる仕組みが働いたのではないかと思うのです。これは委員会設置会社に設置される指名委員会には、取締役の選任や解任に関する議案の内容を決定する権限があるからです。この指名委員会がなかったために、簡単に言えば、親子の意見の相違に基づく争いに株主がいきなり直接巻き込まれる、関与せざるを得ない、という事態になりました。

シチュエーションによって例は様々ですが、間違いなく言えるのは、今回の騒動のような事態は株主たちによくない影響を与えるリスクが極めて高いということです。
騒動のリスクが高いと、どちらかと言えば持ちたくないな、と思う要素が発生してしまいます。

日本企業は世代交代の際には株主の立場についても考えなければならないし、親族経営の会社が現状でも十分ガバナンスをきかせた組織になっているかどうかの見直しも必要です。株主も、こうしたリスクを考慮して企業と対話していかなくてはならないのかな、と思います。