今年の株価はイケイケGo!?

今回は市場について僕が考えていることを書いてみます。海外投資家向けに英語で執筆しているレポートアップデート集「Monthly Wrap」にも書いたのですが、来年の3月末までにTOPIXは40%上昇して1,850ポイント、またはそれを超える、というのが僕の予測です。

もちろんリスクもあります。来年度の第2四半期と第3四半期に成長(GDP)が鈍化する、というシナリオは一番怖いですね。おそらく市場のコンセンサスとして「日銀が4月に追加緩和を実施する」というのがありますが、逆に追加緩和をやらなければ、ネガティブ要因として受け止められます。消費税増税のタイミングでネガティブに見られるのが怖いでしょうから、おそらくコンセンサス通りになるでしょう。アメリカでもよく起きることですが、マーケットが日銀に指示をしているかのような現象ですね。

コンセンサス通りに追加緩和をして、それでも経済がパッとしないっていうシナリオは考えにくいのですが、もし、第2四半期や第3四半期のGDPの成長率が日銀の目標に未達となれば、年末にかけてかなりリスクは高まるでしょう。

一方、TOPIXで1,850ポイントというのは比較的早い段階、つまり5月に始まり、6月や7月にかけて盛り上がるような「Summer Rally」が起きる可能性もあるかなと。こんな「垂直型の上げ」も起きやすいんじゃないか、と市場を見ていても思います。

為替は僕の専門外ですが、なんとなくチャートを見ていると、「まあ120円行っちゃうか?」みたいな感じがします。そこまで円安が進めば、いろんな企業の業績がすごく良くなるので、経済成長の方も、まあ大丈夫かなと思います。そういう意味でも今期は結構明るいんじゃないでしょうか。

とはいえ、外国メディアでもコンセンサスになっているように改革はまだまだ中途半端です。経済も回復が始まったばかりだし、政府が大きく間違ったことをやっているわけではありませんが、法人税減税になかなか踏み切れないところなどを見ていると中途半端ですよね。

っと、こんなことを書いている間に、安倍首相がダボス会議で法人税改革を国際公約しちゃいましたね。これはまだ株価に織り込まれてないので、かなりポジティブですね!!

Uncomfortable truth
~脳への催眠術~

今回も中国のお話です。

どういう人についても言えると思いますが、「人は自分の環境を正当化する」ということがあります。それもすごく面白く正当化するのですよ。これについて是非、このブログを読んでいる皆さん全員に考えて欲しい!皆さん自分の考えを持っていると思いますが、実際には他人やメディアなどに大きく影響され、洗脳され、さらに自分が真実を認めてしまうと不快感を持ってしまうこともあります。uncomfortable truth(不都合な真実)ですね。

中国で、僕はすごく面白いことが確認できた、と思いました。公害についてです。僕が上海に着いたのは木曜日、そして金曜日には杭州という街にバスで移動しました。杭州は上海から3時間くらいのところにあります。それで、バスに乗っていたら「すごい」んですよ!上海から出ても黄色っぽい霧が出ていて、1キロ位離れたところは絶対に見えない!

杭州に着いても同じことで、夕方の4時とか5時に夕日、おひさまが見えないのです、シルエットしか!SF映画のような感じで微妙に気持ちが悪くて、さらに肺の中がヒリヒリしました。その時はマスクをしていなかったんですよね。それで中国人に「公害すごいね」といったら「最近はみんなスマホのアプリでPM2.5の濃度を調べていて、中国のアプリとアメリカ大使館と両方をチェックしています。それで、両方の数字がだいたい合っていて、さらに濃度が一定以下であれば、とりあえず大丈夫だと思っているんですよ。」とのことで、さらに僕が言われたのは「今大丈夫ですよ。」

スマホで数字を見せられて、大丈夫だと言われても、僕からすると「おひさまが見えない」んですよ!いままで見たことのない風景です。でも、そこに住んでいる人が大丈夫、と言うのも仕方ないことだろうと思います。それを認めてしまうと、どこかに引っ越さなくてはならないから。

もっと面白かったのは同じ質問を上海に住んでいる外人にしてみた時でした。中国人と同じ反応です。福島のことを考えてみると、私達も似たようなものです。「放射能大丈夫?」と言われると、「いやーもう大丈夫」などと言っていて、内心自分でも本当に大丈夫かな?と思っています。みんな当たり前、と思っていて、さらにそれを自分の考えだと思っていますが、実際は仕方ないから「脳が催眠術をかけている」ようなものです。逃げるしかない、ということになってしまうから。

本当は何かしないといけない、ということだと思います。何かのデモに行くとか抵抗するとか。実際は面倒だからしないんですが、皆さん、こういうことにも気づいたほうがいいかもしれませんね。

アリババ
~成長が当たり前な中国企業~

このブログではこれまで何度か消費税率アップや法人税の引き下げといった税制に絡む話題を取り上げて、僕の考えを書いてきました。「モノを買うときに税金を払う」というのは本来すごくフェアなことです。現在、平均的な日本人の世帯は先進国の中で最も低い税率を享受しつつ、他の先進国に引けをとらない社会保障を受けているわけで、こういう人達の税率を上げていかないと財政が本格的に良くはなりません。また、前回のブログで書いたように、日本は「稼ぐ人にバツをつける」かのような税制ですが、「稼げば稼ぐほど、儲かれば儲かるほど税金を取られる」のでは、成長へのエネルギーが出てきません。そして成長のない社会では、企業が国際競争に勝てなくなります。

一方で「日本はそれでいい」という考え方もあります。経済はそんなに成長しなくても、人としてはみんな平等でいい、と。しかし、日本人、日本社会がそう決めても、隣の国々、世界の国々はそうではありません。世界の中で日本が他の国と競合していく上で、伸びなくていい、稼げる人からお金をたっぷりもらう、という考え方のままでは、さらに日本を弱くしてしまうんです。

先日中国に行きまして、アリババ社のプレゼンテーションを聞きました。アリババというのは中国で知らない人は一人もいないような電子商取引の大企業です。

アリババは2009年から、毎年11月11日(シングルズデー、独身の日)に大型セールをやっています。すごい人気で去年はシステムなどがパンクしてしまったんです。2013年も11月11日にまたセールをやって、アリババのグループ会社タオバオ(日本の楽天と似ているショッピングモール)で一日に売れた量が日本円にすると5000億円強!サイトを訪れたビジターが4億人!それでも今回はシステムと物流がパンクせずに、数日後すべての人達に買ったものが届いたんです。タオバオは単に安売りの場、中国のものは安かろう悪かろうと思いがちですが、実際には非常に広いレンジの商品が販売されています。どでかい国の中で数億人もの人々がいろいろなものを求めはじめているし、それに対して企業も、ものすごく成長しています。

ここのシステムがなぜパンクしなかったかといえば、アリババ・グループのマネジメントが究極的に「クラウドコンピューティングの会社」になっているからです。物流データや全てのユーザーの購買履歴などいろいろなものを持っていて、それを物流会社と早い段階でシェアし、物流会社に「この倉庫がいっぱいになりそうだから、違う倉庫に送ろう」などと、アリババがコーディネートしていたんです。

コオペレーション型(協力型)の新しいビジネスモデルが生まれています。参加する人は数億人。これは私達の隣の国で今起きていることです。そしてアリババは儲かったお金でまたまた成長へと向かいます。中国にいると成長がすべてという思想が主流で、その隣で「うちは別に成長しなくていい」というので済むのか?と気になりました。