「期待」と「現実」と「将来」

Shimpeiです。

安部内閣の支持率が78%、日銀の金融緩和策の支持率も58%(いずれも日経新聞)と同政権への期待は無党派層にも広がり最高潮に達しています。
実際に超円高は解消され 株式市場も株価、出来高とも回復、TTPへの交渉参加も承認されたことで景気回復への環境は整えたね、というのが支持率アップに繋がっているのでしょう。ここからは国民の個人消費向上と企業の成長と利益が確実のものとなり「景気回復、経済成長」が実現されるか否かにかかっているのでしょう。

こういう時勢に賃上げが可能なのは大企業、そこで働く終身雇用の社員達が個人消費を伸ばすことが大きく期待されているわけですが、彼らが加入している大企業の健康保険組合が相次いで保険料利率を上げている、という気になる記事が日経に掲載されていました。退職した高齢者の医療支援の負担増によって各健保組合の財政が悪化している、ということで現役世代からの支援金を増やす方策が利率の引き上げなのです。

医療に加えて年金や介護の社会保険料も上昇する、との調査結果がみずほ総研から出されています。2013年度の給与総額は前年度から0.8%増加し4万6748円となる見通しですが本人の保険料負担増が2万5,676円と給与増額の5割強になるという調査結果があります。せっかく上がった給料の増額分の半分以上が社会保険料というのでは、負担増があまりに大きく、消費の足かせになりませんかね。

私から見れば現在の政府が出してくる諸政策の多くは選挙用の「支持率」向上の為のものが多いな、と感じられます。確かに一時的ではあれ政治に対するポジティブな「安定感」を国民に与えている事が支持率の高い理由なのでしょう。
しかし将来を見据えた時に足かせになっている今回のような社会保障制度の見直し等、様々な問題に対する積極的な姿勢、根本的な社会政策、ほんとうの意味での分配の基準を考えた施策というのは見えてはいません。
困難承知で「自制の効いた共存共栄」が可能な国造りを目指す、そんな政権でなければ実際の「改革」は困難ではないか、と私は考えます。

大きな地方都市が毎年消える(人口28万人減)

Shimpeiです。

16日出た総務省統計局の人口調査によれば、去年10月1日現在の総人口は1億2751万5千人で前年比28万4千人(0.22%)の減少で平成23年に25万9千人、2年連続の大幅な減少です。28万、其々の永眠先は様々でしょうが塊としてみれば、三重県津市や新潟県長岡市の総人口に匹敵します。これからは毎年こういった地方主要市規模の群集が消えていくことが続くのですね。

総人口に占める割合の推移をみると、年少人口(0~14歳)は、昭和50年(24.3%)以降一貫して低下を続け、平成24年(13.0%)は過去最低となっています。
生産年齢人口(15~64歳)は、昭和57年(67.5%)以降上昇していたが、平成4年(69.8%)にピークとなり,その後は低下を続けています。
老年人口(65歳以上)はついに団塊の世代が65歳に達したこともあって3079万3千人で104万1千人の増加となり,初めて3000万人を超えました。なお、75歳以上人口は1519万3千人で48万5千人の増加です。昭和25年(4.9%)以降一貫して上昇が続いており、平成24年(24.1%)は過去最高となっている。なお、75歳以上人口は上昇を続け、平成24年は11.9%となっています。

人口減を食い止める施策として外国人の移民促進、子育て等言われていますが今回の公表では外国人は社会増減(入国出国数)で見ると4年連続の減少で5万6千人減また出生率も平成24年は104万7千人で前年に比べ2万人以上減少しています。

国立社会保障人口問題研の公表を見ても人口が減り続けながら老年人口が増え続けていくことは必至、あと10年で65歳以上が人口の30%を超えてくるのは確実なわけで、今から削減、節約を行い、取れるところから税を取る手段を見出さなければならないはずで、このままで行けばオレグが説明している背景の中で財政経済に与える直接的なダメージが見えてくるのは明白です。

政治家は国民(選挙民)に向かって心地良い囁き、「現状維持」や「幸せな今をもたらした功績」を繰り返したり、国民が持っている漠然とした将来への不安や不満を「中国や韓国、北朝鮮に舐められてどうするんだ」と外に注目させ、「改憲」という筋道をもってこれが「将来の国策」である、というようなやり方ではなく、将来の安心のために必要な、きっと国民が嫌がる改革案、今後強いていただく具体的な負担について語れるだけの信頼関係を選挙民との間に構築すべきなのですが。

「0増5減」何と姑息な

Shimpeiです。

自民党は「0増5減」を含む公職選挙改正法案を衆議院に提出し、5月中の成立を目指しています。与党の改定案によって17都県42選挙区の見直しが行われ、一票の格差は1.998倍まで縮小されると見込まれています。
「ひとり1票が2票差以上にならなければ合憲」という1票の格差を巡る司法の過去の判断をもとに最近各高裁で出された選挙無効を含む判決を何とか潜り抜けよう、という思惑しか感じられません。

政府はまずは「3党合意」に基づいた選挙制度改革の第一歩だ、と譲る気配を見せませんが「2対1.998」って発想しか持ち合わせていない事が一番の問題なのではないかと。

対する民主党案にしてもやはり「2対1.8」。野党に目立つのは定数削減を含めて現行選挙制度の改正を行うべき、というのが「反対」の旗印になっていますが、「1票の平等(格差是正)」と定数削減は別次元のことで政治家はまず「2対??」の発想でなく「1対1」にどう近づけるか、そのための選挙制度とは?というところから議論を始めるべきなのかと考えます。

私から見れば与党も野党もリストラ直前のサラリーマンのよう、でも自分たちが決めるものだと互助組合員の形振りで冗漫に見えます。

とてもこの国の将来を立て直すために選ばれた「立法者」として「深淵な発想」持っている議員はどこにもいない、と思うのは私だけでしょうか。

民主主義という名目の変化(新しい選挙制度)

Shimpeiです。

以前このブログで現行選挙制度の違憲判決の話を話題にした時、現行制度の「1票の格差是正」より超高齢化社会における新しい選挙制度を考える時が来ているのでは、と書きました。

各高裁においての判決は「選挙無効」というのは2つのみでしたが制度については全て憲法違反との判断がなされましたね。とはいっても格差が2倍未満であれば違反にならないという前提での判決であって、選挙制度改革があったとしても、ますます高齢者は増え続けるわけで、これではOlegの指摘するような社会保障費削減によって財政改革を行う政治が台頭してくることはないかな、と私は思います。

消費税の税率5%アップで、政府は13.5兆円の追加税収を見込んでいますが、そのほとんどは高齢者への社会保障費(年金・医療・介護)に充てられます。政府(財務省)は、それだけではなく「未来(子ども)への投資」も使う、と宣伝しています。しかし、その額たった0.7兆円、将来の日本を支える世代へ消費増税の5%もって「未来への投資」といっています。あの2年前の「東日本大震災」の復興財源を捻出する際にも、引退世代が恩恵を受ける「公的年金」は削減対象にならなりませんでしたが、子育てを行う若い世代が恩恵を受ける「子ども手当」は真っ先に削減の対象となりました。

このような世代的な不均衡配分がまかり通るのは選挙区割りが地理的な区分けで、各地方の選挙区から選出された地域代表を通じて、社会全体の利害を議会に反映させるシステム、言い換えれば「高齢者」に圧倒的に有利な仕組みになっているからでしょう。

最近こうした視線でネット検索や本屋にお書棚に注目していくと以下の提案が見られます。

  • 井堀利宏・東大教授による「世代別選挙区制
  • 「有権者の世代」に応じて選挙区を配置し、議席を配分した上で、それぞれの世代の代表を選出する制度を提唱しています。
    世代の分割方法はいくつかのケースが考えられ、例えば、20~30代の「青年区」、40~50代の「中年区」、60代以上の「老年区」の3つの世代ごとの選挙が実施されれば全有権者に対して20~30代の有権者が占める割合は32.5%、40~50代の有権者が占める割合は32.7%、60代以上の有権者が占める割合は34.9%となり、青年区、中年区、老年区の議席数は概ね同等となり20~30代の議員数が倍増され、若い世代の望む政策が実施される可能性が高まります。

  • 竹内幹・一橋大学大学院経済学研究科准教授による「余命別選挙制度」(中央公論4月号

    各世代選挙区に、その世代の平均余命(あと何年の寿命があるか)に応じて議席(議員数)を配分し、投票権と余命をリンクさせることを提案しています。たとえば、いま25歳の人の平均余命は57年で、55歳の平均余命29年の約2倍。そこで、20代選挙区には議席を多く配分し、その有権者1人当たり議席数が、50代選挙区の2倍になるようにする。若さに応じて1票に格差をつけるわけです。移行期を除けば、生まれた年にかかわらず、どの人も生涯を通じて同じだけの投票力を持つので、「投票価値の平等」は担保される、というものです。

    国民一人ひとりが平等に権利と義務を持つのが民主主義。「1票の格差」を当て嵌めれば単
    に選挙区割りの不平等性を司法判断に仰いでいる現状ではこうした諸提案を含めて必要で
    ある改革が可能になるにはいつの日になるのでしょうか。

    国民の多数が「長期的に問題あっても現状はほぼ幸せなんです、何かあっても皆で渡れば怖くないでしょ。」といった短絡的な楽観主義から早く目覚めて現実を見つめ直し、
    動き始める時期を繰り延べする理由も余裕もなくなってきている、と私は考えますが。

  • 安心と覚悟

    Shimpeiです。

    楽しい団欒の合い間で今マスコミが話題にしているような「選挙制度違憲判決」なり「デフレ脱却」みたいな話がでてくることがありますね。
    プライベートな仲間とのこうした会話の後に多いのは「(日本)は行き詰まってるんですかね」とか「自分が考えたところでどうしようもないね」といった発言が多くなっています。
    その瞬間の雰囲気は「閉塞感漂う」という感じで一杯。でも認識を共有するレベルには到達しないうちに「他人事」として、まもなく消えてなくなってしまう事が繰り返されています。その根底には「最後には何とかなるだろう」という楽観的な見方が見て取れますね。

    この国が他の国々と同様に様々な問題を抱えている、ことは事実なんですが赤字国債を膨大に発行して大赤字になっている国の財政問題一つを取っても、今も発行した分の赤字国債は国内の金融機関と年金によって引受けられてるわけで、イタリアのように具体的な危機が露呈しているわけではないし、その気配すら見えてきません。
    庶民にとってみれば消費税率の引き上げという「改革の始めの一歩」である具体的なプランが発表されて、一抹の不安を抱えながらも日々それなりに現状維持レベルでは問題なく生活出来ているわけです。
    今回の選挙で自民党が政権を握りアベノミクスという政策転換によってメンタルな景況観が好転し始めていて、我慢していた現状維持の生活さえ上方するのではないかという気分が漂っている。円安、株価上昇によって一時的に潤ったとしても、この間にも国家財政は日々悪化していきます。

    そもそも国民にとってみれば日々起こる問題には熱心であっても長期的に起こり得る問題を認識するという事は難しい課題なのでしょうか。これだけ諸問題の先送りを続けてきた先には問題ばかりが脈々と立ちはだかっているはずです。

    財政に限らず選挙制度、雇用、教育等の構造的な問題の改革も急がれます。しかし、その改革には既得権益の見直し規制緩和が必要であり、やるとすれば当然のことながら大変な混乱と痛みを伴う事になりそうですが現状では「空気の読み方」に一生懸命になって何もしないで終わってしまうという事でしょうか。

    突然に危機が訪れて混乱が起こる手前で柔軟な仕組みを作り「安心と覚悟」を持つ余裕だけは持っていたいものです。

    「衆院一票の格差」違憲判決をめぐるお話

    Shimpeiです。

    「一票の格差」についての高裁判決はご承知の通りですが、違憲と知りつつ、国民の前で野田前首相と選挙直前に約束した「0増5減」さえ未だにスケジュール化されていません。「違憲状態」ならすぐ是正されるべきである、とはいえ長い間その格差によって「議席」という既得権を維持してきた議員さん達の抵抗は相当強そうです。選挙区割りを決めるのは政治家自身に与えられている裁量ですが、一票の格差是正に加えて定数削減の議論が高まる中でも、その事に甘えている彼らに抜本的な改革を願うのは所詮無理な話なのかもしれません。

    SR 社代表のオレグも「千駄木から見た日本経済と市場 vol.1」 で指摘しました。
    日本の政治に多大な影響をもたらすのは、政治家ではなく、選挙制度であるということです。現在の選挙制度は、日本社会を変えて適合させることを可能にするのでしょうか?

    判決後、格差是正など選挙制度改革の提言や有権者の権利をめぐる議論が多くみられる中で、現在の選挙制度の結果として実際に起こっている公共事業の割り振りや地方交付税の配分に関するコメントも見られましたがオレグが考える様に、国民にとって歪んだ選挙区分が国家予算全体の配分や政策を本来あるべき姿に出来ないでいるのではないか?という疑問は 完全に議員定数が公平に割り当てられた場合に生じる予算配分や政策ってどうなるんでしょうか?ということですね。
    今回の判決を経済、財務的な目線でしっかりと考えてみるべきなのかな、と改めて思いました。
    実際の選挙は?昨年末の選挙でも国民全体では約40%は投票を行わなかったわけだし、 世代的にも50代以上は70%以上の投票率、それに比べて20、30代は50%以下。そもそもの人口比でみても確実に高齢化なわけで世代別不均衡の拡大はますます加速し、これからの日本を支える若者の社会政治に対する期待や信頼は失われてしまいます。現在の不平等のままで行われている「20歳以上全員一人一票」を是正したところで?
    そういう意味では「超高齢化社会」のもとでのまったく新しい選挙制度のあり方を考える時期が差し迫っているのでしょうか。

     

    アベノミクスと日本の未来

    Shimpeiです。

    日銀の総裁、副総裁人事の内定、イタリア政局でのベルルスコーニさんの踏ん張り、とか株式・為替市場に刺激を与える材料には事欠かない毎日です。

    ある上場企業のIR担当者の話でも去年までは主にアジア在のヘッジファンドからの取材ばかりだったのが最近では3年ぶり、5年ぶりというような欧米の投資信託から「お懐かしいです」で始まる電話取材が増えているとか。アベノミクスが証券市場に生み出したポジティブな気分が徐々に拡がりつつあるのかな、と思う反面、今回の「3本の矢」では

    日本の未来を買うような中長期投資にはならないよな、っていう思案が過ります。

    思わず書いてしまった「日本の未来」って?。未来を想うのなら、どっと戻って私流の現実描写が必要です。

    目立った自己主張しなくてもそこそこ平均点とって、普通の顔して、迷惑かけない約束で乗る「安全なエスカレーター」。自分で動かなくて、行く先も見えているんだけど、最近何故か不安です、私の乗ってるエスカレーターどうも最近壊れかけている?って気づき始めるんですが「階段」に切り替える発想が浮かばない。階段登れば「今日は疲れてるな」とか初めて自分発見できる事いっぱいあるのにね。

    JR山手線の混みあう車内で肘張ってスペース作って一心不乱にスマホでゲームに興じているお姉さんをみての描写でした。

    現状維持、このままで生きていけたらと多くの人は望んでいますね。でも将来生まれてくる世代から借金をしまくって維持されている日本の未来はそれほど明るいものではないはずです。自分が自身を判断して、他人との違いを主張した上で行動する。

    最低限そんな覚悟が必要だと思います。

    プロローグ=期待感の創出には成功(アベノミクス)

    Shimpeiです。

    アベノミクスは市場参加者を増やしている、プロローグ=期待感の創出には成功したけれど、、。

    東証の株価上昇、加えて出来高、売買料金の推移をみていても政権交代から3倍近いボリュームになってきていて「期待感」の衰えはまだ見えません。「春節」の影響があるのか、と心配する向きもあった今週でも急激な「円安」というファクターがあったとしても昨日今日のボリュームを見れば国内の投資家を中心に商いは活発の様です。書店でも「会社四季報」の売れ行きが非常に好調で50%増しの販売部数だということです。期待感の高まりによって証券市場への参加者が増えている、ということでしょうか。
    一方、某不動産会社の話では「自社株含めセクター全体の株価が上がっているのは歓迎なんだが「不動産価格」の値上がりが具体的に見えてきたわけではない。ただ確かに言えるのは売買の引き合いの数は非常に増えているし参加者も多くなっているのは確かで今後の政府の施策によって景気回復が実証されればいけるでしょう」とのお話でした。

    アベノミクスの3本の矢

    1. 大胆な金融緩和
    2. 機動的な財政政策
    3. 成長戦略

    が主要施策、
    具体的には

    • 政策的円安によって国際競争力を高める、
    • 日銀の独立性を転換させ更なる金融緩和を行うこと、
    • 財政支出を増加し公共事業を活性化させること

    主要施策については
    政権の言う「現在の危機的状況」を短期的に解決する、という捉え方では理解される部分も多いですが、中長期的に見て我が国が乗り越えなければならない「既得権益」や「人口減少」に対する抜本的な政策となるとこの諸策のなかには何も見えていませんね。
    それより何より壊れてしまった国のバランスシート(PB)をどう立て直していくのか、安部内閣の閣議決定では2015年までに2010年比の半分にし20年度までに黒字化する、というものでした。それでいながら危機・緊急性という理由で13年度予算案も実質税収の2倍を超える90兆円台に膨らむとか。次世代に膨大な負担を残したまま、というわけにもいかない、という説明の意味するもの、お役人が考えるこの返済への引当というのが「団塊世代以上の人々が蓄えている1000兆円の資産と企業が社内留保している200兆円、などと実しやかに言われているのです。個人資産は「相続税」という名の強奪で済むんでしょうが、社内留保200兆円については投資家の立場に立てば「まずは配当」、社員にとっては「まずは賃上げ」、そうはいくはずもなしといったところでしょうか。
    短期的に「明るさ」が見え隠れする、というところで終わらずに、「始めよければ全て良し」、ということになって行って欲しいものですが、、。