金融庁のスタンス変更で市場の見通しは、かなりBullish!

FSA日経新聞の記事で、金融庁の銀行の検査が変わる、というのがありましたね。これは金融市場にとってすごく大きな話だと思います。

日本の金融業界、他の業界も同じですけど、「官が民を指導する」というスタンスがあります。官の民に対する関与度が高いということは、他の国とは異なった部分ですね。おそらく、そのひとつの理由としては、日本の銀行の経営者がボーナスを何十億円ぐらいもらえるわけじゃなくて、アメリカの経営者に比べてインセンティブが全然違います。そうすると、「自分の仕事をちゃんとやって、トラブルを起こさない」という態度が主流でしょう。従って、官に対する態度に敏感、言い換えると行政指導にものすごく敏感になるんですね。「暴れる」事に対して、金銭的インセンティブが小さい中で、無理をして怒られたり目をつけられたりすることにメリットがないんです。こういう仕組みの中だと官はものすごい影響力があります。

金融庁の検査ですが、いままでだと簡単に言うと、返済されてないとか、支払いが遅れているとか、不良になりそうな債権とかを中心に検査と指導が行われていました。ただある人から聞いた話で、今年の2月か3月から大きく風潮が変わったようです。金融庁が銀行に検査で来て、なぜこの会社は早く返済したんですか?なぜこの会社は融資枠が減っているんですか?等々の話をして、「とにかく貸せ!」っていう信号を送っていたらしいんです。

今回の日経新聞の記事を見て、もともと水面下でやっていたことを完全にオフィシャルガイダンスにして、ある意味でお金を貸せっていう命令をしているように見えます。基本的に金融緩和っていうのは「お金を作る」ということですが、そのお金が銀行で止まると全く意味がないんで、とにかく実体経済に流れるようにしなくちゃいけない。お金が回ればいろんな資産の流動性が上がるんで、不動産はもちろん浮上するでしょうし、資金が必要な中小企業に十分お金が流れていなかった部分も改善されますね。全体的にお金を貸してみんなそれで投資して、世の中活況になるんじゃないかと思います。これに「復興」、「オリンピック」、「法人税引き下げ」というのを合わせて考えれば、ものすごく経済効果が大きいでしょうから、僕はこの先の見通し、かなりBullish(強気)です。

オリンピックは日本が待ち望んだ成長のドライバーだ!

東京オリンピックの開催が決まりましたね。アベノミクスの具体的な成果がなかなか見えてこない中、TPPとか消費税の増税とか、そして原発の汚染水や再稼働の話なんかがあって、ちょっと暗いというか重苦しい雰囲気になっていたのが突然「はればれ」とした感じになりました。

汚染水問題は首相が世界中にコミットしました。そして原子力どうのこうのっていうのをなし崩し的に進めるのも難しくなりました。「世界の中の日本」ってことを意識しなくちゃいけないわけで、TPPも、全体的にはまあ仕方ないでしょってことになるでしょうし、増税もムードが明るくなるので、まあ仕方ないよねってことになるでしょうね。いろんなことがマイナス方向には向かわなくなったんですよ。

あと観光です。中国人が一時は減ったっていうこともありましたし、観光客もそこそこは増えてきてるんだけど、すぐに何かこう、ドラマティックな、大きな変化が起こりそうな期待はなかったんです。で、この先はもちろんすごいことになりますよね。

オリンピック開催は日本が再び成長のドライバーを手に入れた、ってことだと思うんです。「明治維新」とか「戦後の復興」みたいに過去100年間日本を成長させていたドライバーが足元の10年20年はなくって、それが悲劇的だったんですけど、オリンピック開催決定によって「7年後の日本をどうする」というドライバーができたわけで、これ、すごいことですよ!

でも、インフラ整備とか、直接消費が増えるとか、観光客の増加とか、そういった断片的なことよりも重要なことがあるんです。このムード、オリンピックもらえたじゃない!っていうムードが大切なんです!1964年の東京オリンピックをきっかけに日本はすごく伸びたわけですけど、あの時のことを思い出そうっていう感じが素晴らしいです。市場にとってもすごくいいし、経済にとって間違いなくいい!

安倍さんも「ザ・ラッキーガイ」みたいになっちゃいましたね。いろいろ難しい利害関係もあるでしょうし、足を引っ張る古い人達ってのもいるでしょうけど、いま日本は「やる、やらない」っていうのを全部世界に見せてるわけで、日本はオープンな国、面白い国、いい国、伸びていく活気がある国だっていうのをもっともっと見せなきゃいけないですね。

グローバルな日本、オープンな日本になって、みんなの心に戦おうっていう気持ちが戻ったら最高です。市場も経済も心理も。国民の生活はすぐに変わらないんだけど、悪くはならない。いまだって別に日本人は経済的に苦しんるわけじゃないんですよね。気持ち的に苦しんでる人がいるかもしれないだけで、結局はみんな大丈夫なんですよ。だから「もうちょっと明るくなれよ!」っていつも言いたかったんですけど、これでもう大丈夫ですよね!

先入観について
~同じ色でも洋服ならミドリで信号ならアオ…~

先日娘と一緒にいるときに、彼女が信号を指差して英語で「パパ、ブルー」って言ったんです。それで、改めて「あれは何色?」ってきいてみたら「グリーン」だって。日本語で「信号の色は青」って覚えているんで、それをそのまま英語に訳しちゃったんですね。これってむちゃくちゃ面白いと思うんですけど、でも日本じゃ誰も気にしない。日本人に青信号の色の部分だけを見せて、娘に聞いたのと同じように「これは何色ですか?」って聞いたら、多分「緑」っていう答えになるはずです。

昔、どっかの時点で「信号の色は青だ」っていうことになったんでしょう。青っていうのは実はグリーンっぽいブルーなのよね、とか、どっちでもないよね、みたいな流れだったんでしょうか。この色の洋服を買ったら緑、グリーン。で信号だと青。だれも気にしない。ずっと面白いなと思ってたんですよ。

似たような話で、僕は自分の結婚式のときは袴を着たんですけど、そのときに下駄も履きました。でね、レンタルした下駄のサイズが短かったんですよ!かかとがはみ出るの!それで「これサイズ違うでしょ」っていったら、それでいいんだ、下駄はそういうもんなんだ!って。そのとき僕は「足の大きい外人が来て、バカにされているのか面倒くさがられてるのか・・・だからそうやって説得されてるんじゃないか」と思って、結構もめた挙句にお相撲さん用のを見つけて、それを使ったんです。足がはみ出ないくらいにでかいやつ。でも最近下駄を履いてる人を見ると、みんなめちゃくちゃはみ出てるんで、これが日本の文化らしい、って気づいたんですよ。これも不思議なんですよね。

日本以外では信号の色を青って言いませんし、ビルケンシュトックを買うときに足がはみ出るようなのはまず選びませんね。よそとかけ離れていることや実際に不便なはずのことを「こんなもんだ」って満足しているようだと、世の中の変化、特に水面下で起きているような変化に気づかないってことになりかねませんよ。投資についても社会の発展にかかわることでもそうです。皆さんにもうちょっと「気づきましょうよ」って言いたい!