官民ファンドに注意!
~官は投資家でも実業家でもない~

最近「官民ファンド」というのが盛んになっていますね。例えばバイオとか、農業とか、クールジャパン、とにかく官が投資について意思決定に積極的に参加する、あるいは官自身で投資の意思決定をする、ということが多くなる時代の到来です。

先日USJに行って、帰りに関空を使ってみました。関空という巨大プロジェクト、そして「りんくう」という名の膨大な埋立地を見ていて思ったのが、「我々ひとりひとり、社会全体で国をどうやってコントロールするか」というのがこの先のすごく重要なテーマだな、ということです。

結局、本当の意味でリターンを考えているのは実業家だけなんですよ。自分の会社があって、この会社が儲からなければ自分の明日もない、という考え方ができる人達。もちろん彼らはリターンを測ってから意思決定します。

官とか巨大企業の場合、リターンを無視しているわけではありませんが、考え方の中心になるのはそれ以外のこと。「それ以外のこと」というのはいろいろなことがあてはまります。実際いろいろあるんでしょうが、経済的なリターンを忘れてしまうと結果として膨大な無駄づかいになってしまい、狙った経済効果が出せないまま終わってしまいますから、アベノミクスに対しても、長期的には打撃になるかも、ということを思ったんです。

関空の話に戻ります。関空は官は民を参加させたはずなんですが、遠いんですよ、場所!なにもないんですよ!りんくうゲートタワービルという大きな建物がありますが、実はもともとあれは2つの棟になるはずだったらしいんです。つなげてゲートウェイにする、という意味だったんでしょうね。でも1つの棟でもいつ埋まるか全く見通しが立たないから、さすがにやめたんですよ。だから名前の通りのゲートにはならない。

そして、関空に行く途中で大きな橋を渡るんですが、あの橋に使われている鉄の量とか、すべてのものの膨大さを思うと、これってみんなの税金だよねって思えてくるんです。皆さん普段は自分がこれに対していくら払った、という視点では考えないですよね。

この素晴らしい空港、うまく行ったらすごく良かったんですけど、民間が絶対やらないことでもあります。なぜなら「絶対儲からない」から。国は変わろうとしているんだけど、国は投資家ではないので、リターンを考えていない行動がありうる、ということを覚えておきたいですね。「みんなのためになるから大丈夫。国家は儲けを考えない。」という意思が世間では強いはずです。確かにその通りの時もあります。ただ、税金という「お金」を使っていますから、どうやってペイするか厳しく求めなきゃならないでしょう。気をつけて見ておかないと、結果的にお金の無駄づかいになる確率が劇的に上がるでしょう。だから納税者みんなで、それを厳しく見守ることにしましょうか!

よりグローバルになるために
~移民受け入れ編~

移民の受け入れについて、日本では意見が分かれています。移民に反対する意見として、あたかも「外人が犯罪をする」のような論調があり、移民に賛成の意見では「でも入れないとダメでしょ」と、どちらかと言うと逆に外国人側の目線に近い見方をしています。僕は両方とも微妙に違うと思います。

まず、「外人だから犯罪をする」わけがない。同じ教育レベルの人なら、日本人と統計学的にほぼ一緒のはずです。しかし比較的教育を受けていない、やむを得ず移民しなくてはならない人というのは、必ずしも恵まれた環境に置かれていたわけではないでしょう。そういう人達は、外人だからというのではなく、日本を含めてどんな国でも確率的に犯罪や法律違反を起こしやすい人達であるとは言えるので、この部分を移民問題として考える上ではまだきちんとまとまっていないと思います。

同時に、日本はもともと島国・村社会だったので、「暗黙のルール」が多数あって、それを全く理解していない人が一気に押し寄せると大変なことになるのも事実でしょう。例えば警察が実施している様々なことに対する取り締まりのやり方などは、色々変えないと大変でしょう。大きな犯罪という意味ではなく、例えば徹底して小さな違反でも(自転車に乗る皆様にも?)罰金をかけるのか、小さなことに対して注意をするのか、しないのか、注意するときは何語でどうやって注意するのか、そういう細かい問題が沢山あるでしょう。

移民を受け入れるのであれば、日本は現在よりも西欧化しなくてはいけないと思います。日本人だけの「暗黙のルール」でうまく運用できるはずはなく、きちんとルールを守っているかどうか、守っていないのなら一定の罰則が必ずある、というやり方を進めていくことによって、より移民を受け入れやすくなるのではないか、と思います。例えば先ずは、歩きたばこをする人や自転車でメールをしながらする人に、白バイを!!

よりグローバルになるために
~暗黙のルール編~

どんな社会でもそうですが、でも特に日本の社会ではマナーなどでいろいろな「暗黙のルール」があり、みんな子供の頃からそれを学び、理解しています。これらのルールはもちろん海外のそれとは細かい違いが色々あります。例えば、特に若い女性でよく見かけますが、歩くときに足元を見たり、最近では携帯をチェックしたり、という人が多くて、前を見ていませんね。ぶつかりそうになったら、びっくりした表情を浮かべて「すみません」と言って、また携帯を見ながら歩き続ける…。海外でこのようにして歩いていたら、おそらく二週間くらいで誰かに殴られるか、事故や事件が起こります(日本でも最近自転車による事件の多くはその類じゃないでしょうか)。

日本に来る前の自分にとっての暗黙ルールは、数メートルくらい手前から、人と微妙に目を合わせるでも合わせないでもなく、どちらが左に避けてどちらが右に避けるのかを微妙にアピールしてすれ違う…僕は最初に日本に来た頃、渋谷の近くに住んでいましたが、そのときは「なんでいつもぶつかりそうに歩いているのかな」といつも疑問に思っていました。

もう一つ。日本人にとって「お風呂に入る前に体を洗う」というのは基本中の基本で、このことについては以前ロシア人の船員たちのマナーと北海道の銭湯の対応が大問題になりました。お風呂でまずバシャーっと湯船につかる、というのは日本人としてはショックな出来事でしょう。

しかし、最近不思議なことに気づきました。日本人は形式にこだわる、ということの証左だと思うのですが、お風呂に入るときに先に石鹸で体を洗う人、というのは決して皆ではないです。そうなんですよ!最初に体を洗うのではなく、お湯を自分の体にかけるだけで済ませます。お湯を最初に自分の体にかける、というのはイコール体を洗ったとみなされますね。必ずしもピカピカのきれいな体でお風呂に入るのではない。お湯をかけて、湯船に入って、出てから石鹸で体を洗う、というのがほぼ一般的になっています、よく見ると。

この場合はおそらく、「なんとなく洗う」というのはルールであって、日本人もそのニュアンスを意識していないようなことです。ただ、全く洗おうとしない外国人が入ると(当然ながら)非常に「激しい反応」になってしまいます。「最初にシャワーを軽く浴びてから入って」と言ってしまえば理解されやすいかもね…

「暗黙のルール」の類はこの先オリンピックで外国人が増えていくことを考えれば、「あいだを取る」という感じで調整していかなくてはならないことがたくさんありそうです。

高速道路に拉致された街、東京


(c) .foto project

先日渋滞に巻き込まれて、その時にいろいろ考えてしまいました。東京よりも、地方ではみんなが車によく乗っていますけど、環境にはよくないし、多くの場合はバスに乗ったり電車に乗ったりしたほうが時間的にも金銭的にも絶対効率的でしょう。でも結局地方の方が車を使わなくてはならないのは、交通機関があまり便利になっていない、という事実があるからですね。

じゃあ交通機関の整備は出来ないの?といえば出来るはずですよね。同じく自転車とかいろいろな交通手段の整備だってもっともっと出来るでしょう。じゃあなぜ?って考えてみると、やっぱり日本の経済を支えているのは自動車産業だし、自動車産業のためには国内に比較的元気な、奥深い自動車市場がないとダメだ、ってことなんでしょうね。

車に乗ってどこかへ行こうとするとき、経済的なコストを負担するのは国民全体で、でも車が売れることのメリットを得るのは結局自動車産業だけじゃないか、と思います。国内に成長がないから結局日本の輸出産業として自動車をサポートするのはいいですが、みんな見えないところで意外とコストを払っているな、と感じるんですよ。

オリンピックで日本を観光大国にするのなら、高速道路が東京を拉致しているみたいな状況も何とかしたいですよね。川も見えないし橋も全部高速道路に「食われて」います。そのかわり、僕は車が大好きで、ずっと運転しているんだけど、高速道路に乗ってしまえばこんなに楽な国はありませんね。そこそこ渋滞はするんですけど、すっとどこでも行けます。

シンガポールなんかをモデルにして、車を買いたいんだったら税金を倍にするとかして、本当に乗りたい人だけ乗って下さい、というふうに変えてしまうとどうでしょう?車の数は減って、空気もキレイになって、プラスお金も入るから、もっともっとトンネル化して道路を地下にするとか…。出来なくはないんでしょうけど、さすがにいま誰もやろうとはしないですよね。

ヨーロッパの国々を見ると、街の中に車が入れなくて、全部公共の交通機関(タクシーを含む場合も)と自転車でお願いします、そういう街がいっぱいあります。じゃあ東京をそういうふうにするかっていうと、これもまあ出来ないでしょうね。車を運転する者としては現状に文句はないんだけど、もうちょっとみんないっしょに便利なバスに乗って橋も見えて川も見えて、東京って本当にきれいな街だよねって思い出させてくれるようなことって、本気でやろうと思えば出来るんだろうな、ってちょっと思いました。