コーポレートガバナンス・コードと会社予想の関係

日本企業の来期の利益成長は、鈍化するとの予想でコンセンサスができつつありますが、この理由は、日本企業の姿勢が保守的だからではないかということが一番大きい、と思っています。業績がそれほど悪くない会社ですら、為替効果を除いても、慎重論が出ているような気がします。これには、コーポレートガバナンス・コードが影響もしているだろう、というのが僕の推測です。

コーポレートガバナンス・コードの適用で社外取締役が増えると、企業統治の観点から、積極的な会社計画を出すのが適切なのかどうなのか、いいのかそれで、という話が以前より出てくるだろうと思います。そういう話が出ると、来期の予想は失敗の責任追及がおきにくくて、意見のまとまりやすい「慎重なモノ」にしておこう、となりそうです。

さらには、為替に目を転じると、さすがに117円/ドル近辺の現状で、120円/ドルになるだろう、と言える勇気のある人は少ないので、115円/ドルをベースにしていた企業が来年も同程度とか、あるいはもう少し保守的に、となる可能性があります。そうすると、いろいろ考慮したら減益予想になってしまった、というケースもあるでしょう。

この通りになってしまうと、日本の株式市場は2016年5月から、サヨナラです。Sell in May and go awayがそのまま適用されることになってしまいます。5月までに残っているのは2月~4月だけですが、日本相場がそれでも上がる要素は4つあると考えています。

- アメリカの株式市場が上がり、日本市場も一緒に上がる
- 安倍首相が必死に何かしたくて、アベノミクス宣言する(でも甘利大臣問題が=>余り大臣の問題へ?)
- 夏まで何もしないと言われている黒田総裁が、4月までにサプライズで何かを出す(明日?!)
- 円安になり、相場を押し上げる(でもなんで?結局、黒田氏次第)

春までは雲がかかったような状態で、これにさらに1月の恐怖が加わってますので、先行きが読みにくくて気持ちの悪い相場となっています。とはいえ、急に相場が反転すれば、春のラリーの可能性が再浮上するのも早いでしょうから、まだ絶望的になるほどではない、かと思います。

バブル崩壊後の株式市場動向から思うこと

日本のバブル崩壊以降では、アメリカの株式市場が下がっている時期に、日本の株式市場が上がっていたことは一度もありません。その逆にアメリカ市場が上がっているのに、日本市場が下がっていたことはあります。

従って現在の、日本の株式市場の相場を考えようとすると、アメリカの株式相場についてと、日本の市場の固有の要因を見なければならないのですが、正直なところ、アメリカについてはよくわかりません。

ただ、アメリカの上場企業の利益が増えていないというのは事実です。シェールガス関連企業の倒産リスク、信用リスク、もっと言えば、コモディティ関連企業のリスクが増加しているのは間違いありません。大手石油会社からは配当カットの話も出ています。

さてアメリカはともかく、日本はどうなんでしょうか?
弊社の顧客企業から聞こえてくるのは、「最近は円安効果が完全に止まっている。更に円安が進まない限り、今年の前提と比較して若干の円高気味になっている」という話です。確かに120円/ドルと比べると、今は117円/ドル付近となっています。

国内の実需については、来年に向けてなら割と楽観的な意見が多いですが、現在の状況は、それほど良くないという話です。調子がいいのは自動車関連くらいでしょうか。

来期の売上の伸びについて、僕は少し慎重派です。中国の成長鈍化が日本に対する影響はそれほど大きくないだろうと言われているものの、影響がなくはないです。東南アジア諸国や、コモディティをつくる産油国を含めた国々についても同じことが言えて、日本は直接的にも間接的にもある程度影響を受けるはずなので、成長鈍化へのインパクトが結構あるんじゃないかと思っています。