年末の株式市場から感じたこと

最近の株式市場を見ていて、年末にかけて意外と不安定な相場だなと感じました。でも、僕は相変わらず、少なくとも来年前半、場合によって来年一年はますますよくなるしかないのではとポジティブに捉えています。

理由の一つとして、総選挙についてのブログでも書いた通り、安部首相が少なくとも2016年いっぱいまで、特に来年はほぼ自分の思うように行動できると言われています。どこまでできるかは別問題ですが、これは非常にいい話なんです。

外国人もそうですし、日本国内でも安倍政権に対する期待値は、まだかなり低いと思います。ですから、期待値の低いレベルから、ちょっとだけ公約以上のことを行動に移し、これやりました!という話が次々出ると、みんなポジティブに感じる訳です。

法人税減税についても結局2.5%の引き下げを目指しているということですが、単純に2.5%の減税となるとEPSが2.5%上がるということなんです。だから、そんなに小さい話ではないんです。

もう一つは、黒田総裁の行動です。さすがに僕は金融政策の専門家ではないので、若干素人的な意見なんですが、今回はGDP成長率が低かったことが一番大きな要因ですが、やはりインフレ目標の達成が難しいということで大胆な緩和をしています。そして、できることは何でもやる、という発言もありましたよね。原油価格が暴落し、実質、日本経済にはプラスですが、インフレに進みにくくなる要素にもなるので、追加緩和しやすくなるんじゃないか、という感じです。

円安についても100円/ドル以上がコンセンサスになっていて、120円/ドルを超えても世界の大国からまったくコメントがないんです。つまり、120円/ドル以上のレベルがある意味で承認されていると捉えることもできます。日本にとって明らかにいいんです。130円とか150円/ドルを視野にいれると、輸出企業の売上、利益も伸びるし、インバウンドのブームじゃなくてインバウンド革命が起きるぐらい、訪日旅行者が増えることも期待できますよね!

原油価格の暴落

先週の原油価格暴落について感じたことを少しコメントしておきます。

メディアでは逆オイルショックとか言われているようです。こんなに急に原油価格が下がったら困るとか言っていますが、これは僕には理解できません。原油輸入国の日本で誰が困るというのか? 上がっているほうが困らないというほうが多数派なのか?原油価格の見通しの予測をする仕事をしていて、それが外れた人は困っているかも知れません。

この原油価格の暴落は、原油生産国以外にとっては減税が行われたのと同じくらい、経済的にプラスのインパクトのあることなんです。減税だと思ってみれば、歓迎すべきことなのではないでしょうか。一般の人にとっては、生活必需品が、一律にバーゲンセール価格で購入できるようになった感じでしょうか。先週買ったものが今週にセールになってしまって、なんか損した気分だな、とは思うかも知れませんが、先週食べるべきパンを今週まで待って買うことはできないわけで、気分的には残念だけど、実際に損をしたわけではありませんよね、そのときの適正価格で買えていれば。

だから今回の原油価格の暴落については、僕はポジティブな見方しかしていません。ネガティブなニュアンスを出さないとニュースにならない、ということはないので、ポジティブなことも、少しはそのとおり報道してもよいのではないでしょうか。この程度でバブル期のように、国全体が浮かれてしまう、ということはないと思いますよ、さすがに。

TOPIXターゲットプライス

先日、TOPIXのチャートを眺めていて思ったことを書きます。1993年以降のチャートをMonthlyで見ると以下の様になっています。
TOPIX01

段々と下げ幅も上り幅も大きくなっていますよね。また、このチャート期間は失われた20年だったとはいえ、1993年のピークから次のピークの2007年まで線を引っ張ってみると、2007年のピークの方が5%ぐらい高くなっていることにも気づきました。これにはちょっと感動します。どういうことなのかと考えてみました。日本経済のGDP成長率を計算してみると1993-2007年の間は、年平均で1.1%くらいになったんです。いろんな文句を並べ、泣きながら「もう負けた、ダメだ、終わりだ!」なんて言いつつも、バブル崩壊後の長期間で見てみるとそれでも経済は成長しているんですよね。株価の上昇具合がいくらか少ないとはいえ、どうにもならずにどん底を張っていたわけではありません。直近のTOPIXのチャートサイクルを見るとまだまだ上昇の余地は十分にあると感じられます。

さらに、ここでもう一つのことに気づいてしまいました。同じラインをもう少し延長してみます。
TOPIX02

今回のピークではTOPIXが1,800を超えるように見えるのは、僕だけではないでしょう。このチャートで観ると、はっきりしていると思いませんか?前回の下降から上昇への動きのサイクルでもそうだったんですけど、谷があり、途中に棚が一回出来てそのあとピークに向かって一気にあがるんですよ。

というわけで、オフィシャル プライスターゲット by OlegはTOPIX 1,850円!あとは祈るだけ!

最近の円安を見て僕が思うこと(後編)

前編へ

もう一つ、言われてみれば、すぐに納得する人は多いと思いますが、なぜかまだ為替動向分析のメインの話になっていないのが訪日観光客の影響です。観光客が海外から来ると輸出になります。これは今後日本の新しい輸出ドライバーになることでしょう。

日本が輸出国だという条件で話を進めるとき、2~5年の短期的スパンで経済に一番大きく影響するのは価格競争力です。そうすると、為替レートは圧倒的に大きな影響力があります。長期的な円のチャートを出してみると、いわゆるITバブルといわれていた時に円が120円/ドル以上で140円まで円安にいったという時期がありました。その後の2003年などでは、結局110円よりは円高になりませんでした。基本的に前回の株価変動サイクルでは円ドル為替は110~120円のレンジだったのですね。

JPYchart
ちなみにプラザ合意で一気に円高になりましたが、日本の高度経済成長期には1ドル250円台の時期もあったのです。そう考えると、逆に今の為替レートで競争力を維持している忍耐力、日本企業のすばらしさには、ホントに拍手したいぐらいです。

リーマンショックでやられたのは企業や株価ばかりでなく、円ドル為替でも80円/ドル台まで円高が進み、日本に不利になったのです。2009年、2010年の回復が始まった時に円は80~100円のレンジで推移していました。そして東日本大震災が起き、回復はまだ始まったたばかりと言えます。会社の意思決定、生産を海外に移すかという話、も日本の製造能力が低いからということが理由なのではなく、円高トレンドの状況で価格競争力を維持しながらも、製品の品質を落とさないバランスのとれた製造拠点を探し求めた結果なのです。アベノミクスの評価は、まだ早すぎますね。100円台に確実に乗ったのは2013年後半で、まだ1年もたっていません。そもそも企業が第2四半期でやっと前提を105円/ドルに乗せたところです。つまり初めて100円/ドルを超える前提というのを企業が安心して使おうかなと思っている局面です。それに対して黒田さんが思い切った声明を出して、先日は120円/ドルを超えました。

そこで現状のキードライバーを見てみると、輸出国である日本にとってこの為替がまだまだ織り込まれていないと思うのです。政治の安定、中途半端ながらも続く改革、少なくともこれらは悪化とは言えません。改善の面しかないわけですから、前回の記事に引き続き、円だけに集中してさらにポジティブになろう!と言いたいですね。ただし、海外旅行は控えめにしたほうがいいと思いますよ、今のところは!僕にとっては年末年始の里帰りのコストアップがちょっと痛いです。

最近の円安を見て僕が思うこと(前編)

アベノミクスが始まる2年前のことです。生産性や経済パフォーマンスなど日本は他国から色々ネガティブに言われているし、自国内でも苦言はありますが、様々な経済データを調べてみると他国と比べて実はそれほど見劣りしているわけではありません。少し自虐的、というか謙遜しすぎじゃないかと思ってしまいました。とは言え、2011年あたりに日本の市場も経済も落ち込んでしまっていたとき、どうしてかと疑問に思い、なるほどと見つけた答えは日本の通貨、円、為替の問題でした。

このとき、キードライバーのことが自分の頭に浮かんできたのです。キードライバーは、株を見る際に会社の業績に一番影響しているのは何かということを把握するための、基本的な指標です。株価の形成には、いろんな要素が含まれているので、全部を分析することは物理的に極めて困難ですが、何かひとつ、動きの似ているものを簡単に見つけられれば、判断がずっと速く簡単になります。国全体の株式市場で考えた場合、僕がはじめに例として思いついたのは、ロシアの株式市場とそのドライバーでした。そこでロシアの株式市場と石油価格のチャートをならべてみたところ、すばらしいくらいフィットしていたのです。

ロシア株式市場指数 vs 原油価格(WTI)
RS出所:Bloomberg

もう一カ国チェックしようとして思いついたのは、社会的に世界の模範生と非常に高く評価されている国、ノルウェーでした。ノルウェーとロシア、見た目は大きく異なるように感じますが、ノルウェー経済のキードライバーがロシアと同じく石油だというのはよく知られていて、比較チェックしてみたら、やはりロシアと全く同じ結果になったのです。

ノルウェー株式市場指数 vs 原油価格(WTI)
NS
出所:Bloomberg

日本のキードライバーは輸出です。輸出ですから、円安が追い風になります。キードライバーの話を皆さん結構複雑にすることがあるのですが実際、パフォーマンスに圧倒的な影響を与えているキードライバーだけを考えると、日本の場合はどう見ても輸出です。

それに対してすぐ始まる反論は「もう海外生産に切り替わっているでしょ!」という話なのですが、これは少し勘違いなのです。客観的に統計データを見てみるとドライバーは相変わらず輸出です。確かに電気機器はドライバーから外れましたが、産業機械、プラント、あとは自動車の輸出がドライバーです。日本は相変わらずまだ輸出国なのです、実際は。

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