エストニアの情報管理
~国民用ウェブサイト~

前回に続きエストニアの情報管理をテーマに、今回はエストニア国民用のウェブサイト(https://www.eesti.ee/)をご紹介します。ちなみにURLの中にある「eesti」はエストニアという意味です。

下の画像がトップページです。このウェブサイトはエストニア語、英語、ロシア語の3ヶ国語に対応しています。

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このウェブサイトではエストニア国民に個人ページが割り当てられます。ちなみにメールアドレスも配布されます。このメールアドレスのフォーマットは、「自分の名前@EEST.aa」となっています。このメールアドレスは、エストニアのオフィシャルメールアドレスのような扱いで、国からの連絡はこのメールアドレス経由で送付されます。

このウェブサイト一つで、医療保険、所有不動産、運転免許、子供の情報なども閲覧できるため、戸籍謄本の超強化版だと思ってもらえればいいかもしれません。さらに会社の立ち上げ方から自動車保険に関する情報まで、国民の生活に必要なデータが集まっています。

例としてFor Citizenのページを見てみましょう。このページでは、住宅(マスタープランの申請など)、教育(自分の学歴、卒業証明書など)、環境(土工事の申請など)、文化(イベント開催の許可申請など)、交通(運転免許証の有効期限の確認など)、家庭(保育園の申請など)といったカテゴリー分けされていて、知りたい情報の確認や各種申請などもインターネット経由で出来ます。

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国民IDカードとカードリーダーを使って、このポータルサイトにログインしていれば、自分の情報がすべてわかるし、申請などもできるという優れもの?ですね。

このようにエストニアは日本と違い、すべてのデータベースが統一されています。たとえば、日本だったら警視庁は独自のウェブサイトやデータベースを持っていたりして、それぞれの機関が自分の管轄内のシステムを独自に作っていますから、エストニアのようなポータルサイトはありません。エストニアは、どちらかというと国としての政策で、各分野のものをまとめてつくっているようです。

日本にもこんなポータルサイトが出来たらいいですよね?たいして重要でもない申請をするために役所まで行って時間待ちすることや、色々なウェブサイトに散らばった情報を集めるということも無くなるかもしれませんからね。

エストニアの情報管理
~国民IDカード~

これまでこのブログでは、日本の政治、経済、文化等について僕が感じた事を記してきました。

今回は、日本にはまだ無い仕組みが確立されているエストニアでの情報管理の例を挙げ、私の母国でもあるエストニアという国を紹介しようと思います。

実はエストニアは、世界で初めて電子投票が採用された国です。2005年の地方議会選挙で正式に初めて採用され、2007年の国会議員選挙ではインターネットを介した電子投票が実施されています。

日本でも最近では電子投票などの話も挙がっていて、なんといっても一番は、国民番号を付けるという話で議論になっていますよね。きっと導入はされるのでしょうけど。エストニアでは、パーソナルコードというか、国民番号が独立のときから割り振られています。この番号は生年月日、性別、出生地域などの情報から構成されています。下の画像はこの番号が入った国民IDカードです。

IDこのカードの使用例を挙げてみます。

エストニアでは重要な書類と、それ以外に分けられていて、家を買う、何かの契約をする、といった重要な書類を用意するときには基本的に公証人を使います。これは第3者が本人確認を行って自分の印鑑を押すことで、印鑑を押した人の責任になるという仕組みです。それに対してリーズナブルなフィーを払うことで成り立っているようです。それ以外のそれほど重要でないものについては、署名を使うという文化で、この国民番号を入れて署名します。

このカードにはICチップが入っていて、偽造が極めて難しいです。このため銀行口座を開くときにも証明書として利用できます。このカードを銀行に持って行くと銀行側がデータをとり、国民番号、名前、顔写真を確認します。

また、銀行を使いたい、銀行に行かずにサインしたい、というときにはパソコンとインターネット環境があれば電子署名もできます。そのときには特別なシステムを使います。このシステムは国が認証したプライベート企業が提供しています。

銀行に行かずに電子署名したいときは、銀行で無料配布しているカードリーダーを使います。

Readerこのカードリーダーにカードを入れると、ソフトウェアのダウンロードが推奨され、これをダウンロードすると自分が認証される環境が作られます。僕が覚えている限り、アメリカのセキュリティ分野でリーダーシップをとっている企業の最新技術を使用しているようです。

ちなみに国民カードが配布されるときに暗証番号も一緒に配布されます。この暗証番号は自分でも変更可能です。またこれとは別の暗証番号があってセキュリティレベルは非常に高くなっています。こういったセキュリティの高いシステムを利用することで、電子投票が行えるわけですね。

次回は、エストア国民用に色々な情報が掲載されているウェブサイトを紹介します!