ベストプラクティス(模範解答)を考えましょう
~ガバナンスコード/スチュワードシップコード~

今回はガバナンスコードとスチュワードシップコードについての話です。

ちょっと調べてみるとイギリスにもアメリカにも、ベストプラクティスのようなものがあります。つまりスチュワードシップコードなどに対して、投資家にとって何がベストかを示したものがあるのです。ガバナンスコードは、少なくともこれをしなさい、こういうスタンスをとりましょう、というガイドラインなので、具体的に何がいい、何が好ましくて、何が悪いかというのを判断するために、日本にもベストプラクティスがあれば変革のスピードが加速すると思います。

例えばROEについては、伊藤レポートでROE8%の目標を掲げています。金融の専門家ならよくわかることですが、ROE8%というのはあまり意味のある話とは思えません。色々理由付けしていますが議論の余地があります。ガバナンスコードや伊藤レポートのポイントは、どこかで線引きをしないとなかなか具体的に話が進まないのでROE8%を最低ラインとして達成しよう、という点にあります。

最終的には経営者の意欲や株主からのプレッシャーによって、持続成長もROE8%以上も達成可能だと思うので、投資家サイドが様々な例をみてベストプラクティスをつくる必要があるかなと思います。

ガバナンス構成についても、株主価値の観点からすると、どういう仕組みがベストなのか、どういうガバナンスが本当に効果的なのか、がわかるかどうかというのが重要なポイントです。今単純に決まっている日本のガバナンス構成としては、監査役会設置会社、監査等委員会設置会社、委員会設置会社があります。これまでの日本の習慣や会社法等の成り立ちが影響し、これらの仕組みがありますが、最終的には投資家や株主にとってベストな仕組を選択する必要があるでしょう。今回ガバナンスコードが導入されましたが、ガバナンスの改革や変革はまだ第一歩を踏み出したに過ぎませんので、次に必要なステップはベストプラクティスだと思います。これについて自分でももっと考えたいし、皆さんもぜひ考えてみてください。

ピークを越えた後は?

株式市場にもサイクル(循環)があるので、今の相場の勢いを見ると今回のサイクルの頂点がもう見えたような気がします。つまりピークを越えたらどうなるかっていうのを考えなきゃいけない時間が近づいて来ています。

もちろん、短期的にはまず「Sell in May」(5月に売れ)という現象が起きるかどうか気になります。今の元気な相場だとこのまま夏のラリーが訪れて、5月に売った人が馬鹿みたいことにもなり得ます…

関係ない話ですが、先日A社の個人株主から聞いて驚いた話がありました。この方は2001年からA社株をIPOから持っていて、「めちゃくちゃ儲けさせてくれた。すごく良い株だ」とか話していました。ただ、よく聞いてみると、時価総額の概念がわかっていないようでした。株数だけで見ていて、株式分割されると元々2万株例えば持っていたとして、今4万株持っているのが嬉しいと。それで半分売っても、元々持っていた2万株がそのまま残っている、これが嬉しいみたいな感じです。A社の株価を確認したところ、確かに上がっているようですが、IPOから買っていたら14年間かけて倍になっています。興奮するほどのリターンじゃないでしょう。株数が増えることにあんなに喜ぶる人がいるんだなあと思いました。

だから分割で株価が上がるか…と思うと、市場参加者はみんな合理的な行動しているでもないし、場合によって半合理的な行動もとっていません。このため短期的な動きを占うにはかなりの無理がありますよね。つまり、上がる時も下がる時も、必ずしも論理的な理由で市場が動くと考えるのは間違いです。

こんなことを考えていると、今話題になっているガバナンス改善や株主還元を思い出しました。もちろん、大変良いことです。ただ、株価がボロボロに下がり始めたら、もうガバナンスとかどうでもいいという話になります。配当についても無限に上げられないですし、いずれ景気が悪化し始めたら、配当原資も少なくなるし、評価も下がりかねないでしょう。今話題の自社株買いも、株価が高いところで買うなんてそもそもベストなのでしょうか。もちろん、自社株買いについては、アメリカでも言えることで、投資家からプレッシャーがあるから経営陣が株価を上げたいんです。周りの企業みんなが同じことをやると、結局自分もやらないと株価上がらないみたいな話になっています。日本の場合、アメリカみたいにストックオプションで儲けようとする経営者はほとんどいませんが、横並び現象でみんながやっているから自分もやらなきゃ、ということが起きます。面白いですね。

堅調な相場はいつまで続くのか

僕は普段それほど短期的な話はしないのですが、今非常に面白いのはやっぱり相場の堅調さです。日中足を見ると、結構な資金が市場に流れているのがわかります。主力銘柄の株価が上がり、バリュエーション的にすでに十分だと思われる銘柄でも上がっています。

個人的には給与所得が、少しずつ上がり始めたかなっていう気がするし、経済も決して悪くない。業績も悪くないし、法人税も下がるので、全て良い話ですが、こういった話がどこまで織り込まれているかって、そろそろ考えなきゃいけないかなって思っています。

不思議なくらいに堅調な今回の相場を見ていると、どこで調整が来るのかなって思ったりします。これまでの経験としては、調整が来るとみんなが思っていても来ない時もあるので、正直、答えはわからないです。この凄まじい買いがどこで、どういったカタチで止まるのか、を見たいという意味で今月の相場には注目しています。

不動産銘柄について思ったこと

大手不動産銘柄とREITの株価があがっています。これは日銀がREIT株を買っているのが一番大きな理由ですが、日銀の買いに乗じて地方銀行など様々な投資家から買いが入っています。中堅不動産銘柄もこれにつられて上がっているものの、更に上がる余地があるのではないかなと思ってます。

ある不動産会社から、賃料が少しずつ上がっている、という話を聞きましたが、不動産会社の多くは中期経営計画に賃料上昇の影響をフルには織り込んでいないように思います。

別の話として、オフィスビルの空室率について一般的に言えることがあります。利益が好調な企業はグレードの高いオフィスに移転する傾向があります。景気回復に伴いAクラスのオフィスビルの空室率が改善すると、一時的にグレードBクラスの空室率が悪化することになります。Bクラスに入っていた好業績会社がAクラスへ。ただ、まだそこまで余裕のない中小企業はBとCのままで、引っ越しません。中小企業の場合、大体業績の改善にはラグがあるからです。

ただ、より最近の話としてBクラスのオフィスビルでも空室率がじわじわとではありますが、改善してきているのではないかというのが僕の見解です。

空室率が改善すれば、ある程度賃料が上がります。ある不動産会社に賃料が上がるのかを聞いたところ、まだ上がってはいないという回答をもらいました。ただ、しばらく経つと、あ、上がっちゃいました!と仰るでしょう。商人は損していつか倉が建つ。

レナウン急騰

何が起きたんでしょうね?この銘柄名を見ると先日の辛い記憶が蘇ってきます。

皆さんご存知の通り、先日驚きの動きを見せたのがレナウン(3606)です。3/30、3/31と株価が急騰しましたよね。

ブルームバーグなどの情報によれば、急にインバウンド銘柄として認められたようです。会社に問い合わせたところ、「何も材料が見当たらないし、業績もよくない」という答えが返ってきましたが、そんな状態で株価が急に倍になるというのは、ちょっと考えにくいです。何らかのカタチで情報漏えいがあったのではないかと疑ってしまいます。何があったのか後に判明するかもしれませんので少し楽しみにしています。