最近の円安を見て僕が思うこと(前編)

アベノミクスが始まる2年前のことです。生産性や経済パフォーマンスなど日本は他国から色々ネガティブに言われているし、自国内でも苦言はありますが、様々な経済データを調べてみると他国と比べて実はそれほど見劣りしているわけではありません。少し自虐的、というか謙遜しすぎじゃないかと思ってしまいました。とは言え、2011年あたりに日本の市場も経済も落ち込んでしまっていたとき、どうしてかと疑問に思い、なるほどと見つけた答えは日本の通貨、円、為替の問題でした。

このとき、キードライバーのことが自分の頭に浮かんできたのです。キードライバーは、株を見る際に会社の業績に一番影響しているのは何かということを把握するための、基本的な指標です。株価の形成には、いろんな要素が含まれているので、全部を分析することは物理的に極めて困難ですが、何かひとつ、動きの似ているものを簡単に見つけられれば、判断がずっと速く簡単になります。国全体の株式市場で考えた場合、僕がはじめに例として思いついたのは、ロシアの株式市場とそのドライバーでした。そこでロシアの株式市場と石油価格のチャートをならべてみたところ、すばらしいくらいフィットしていたのです。

ロシア株式市場指数 vs 原油価格(WTI)
RS出所:Bloomberg

もう一カ国チェックしようとして思いついたのは、社会的に世界の模範生と非常に高く評価されている国、ノルウェーでした。ノルウェーとロシア、見た目は大きく異なるように感じますが、ノルウェー経済のキードライバーがロシアと同じく石油だというのはよく知られていて、比較チェックしてみたら、やはりロシアと全く同じ結果になったのです。

ノルウェー株式市場指数 vs 原油価格(WTI)
NS
出所:Bloomberg

日本のキードライバーは輸出です。輸出ですから、円安が追い風になります。キードライバーの話を皆さん結構複雑にすることがあるのですが実際、パフォーマンスに圧倒的な影響を与えているキードライバーだけを考えると、日本の場合はどう見ても輸出です。

それに対してすぐ始まる反論は「もう海外生産に切り替わっているでしょ!」という話なのですが、これは少し勘違いなのです。客観的に統計データを見てみるとドライバーは相変わらず輸出です。確かに電気機器はドライバーから外れましたが、産業機械、プラント、あとは自動車の輸出がドライバーです。日本は相変わらずまだ輸出国なのです、実際は。

後編へ

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>