NISAは普通の人と株式市場に貢献するか?

今回はNISA(少額投資非課税制度)のお話です。口座数が500万近くになったということですが、某大手証券会社の知人に聞いたところ、NISAを始めているのは既に株式投資をしている人。面白いことに、重税感を感じている中小企業の経営者などが多いようです。もともと株式投資をしている人がNISAを始めただけなので、市場の活性化への効果は限られているでしょう。

そもそも、株式投資をする人が増えないのは「税金が高いから」というより、「儲からない」「難しくてわからない」という理由からだと思います。NISAというのはこれと関係ないでしょう。

NISAで増えるだろうと期待されている投資家は、おそらく40歳代に差し掛かった団塊ジュニア世代。ただ、この方々は1999年とか2000年のITバブル期に初めて株式投資をして、大やけどした経験のある方も多いはずです。その後も、2005年以降に市場参加した人も、ホリエモン事件後にやけどしたはず。やっぱり、株式投資をするには知識と経験が必要で、税金を気にするのは儲かってからの話でしょう。非課税だから、NISA口座に100万円入れて「お金が増えるかもしれない」と思う人はどのぐらいいるのでしょうか。

長期的に見ると、(株に投資しなかった)一般市民は最終的に賢かったとも言えるでしょう。日本人はお金を投資せずに貯金ばっかりしていると言われています。でも、昔、郵貯に長期定期預金していた人は、結果的に高い金利をもらって、株式市場のリターンの上回る利回りを得たという話も確かにありました。また、デフレの影響で普通預金金利がゼロとは言え、実質金利がプラスになるという論理も働きます。株に投資して損するよりも、デフレ率分の実質的なプラスが出たほうが明らかにいいわけで、投資評論家よりも一般人は正しい判断をしていた、ということになります。

一般人が株式投資を始め、継続して投資し続けるために必要なのは経済成長と儲けです。なので、経済が安定して、しかも長期的に拡大するだろうとみんな信じるようになることが必要です。また「初めて投資する人でも儲けられるか」という問題を解決しなくてはなりません。このスキームだと損すれば税金は関係ないし、損失の繰越も出来ないんです。「税金は確かにかからなかったけれど結果的に損しただけ」ということになって、もしかすると5年後に「これってずるいスキームだったよね」と評価されるかもしれませんよね。

NISAは悪いスキームではないと思いますが、これから投資を始めるという人は、最低限必要な知識を身につけてから投資したほうがいいですね。いわゆるプロに任せるというのは、僕はかなり危ないと思います。NISAで最終的に「儲かったのはだれか?」というと証券会社と投資信託会社だけ、ということになりかねませんからね。

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