「投資」という言葉の意味と文化的な影響

先日のことです。テレビのチャンネルを変えながら見ていた時に、あるチャンネルで「パチンコをするときに、どのくらいお金をつかうか」という話をしていました。パチンコをする人って、お金を使うことを「投資」って言うんですね。「いやいや、それって投資とは違うでしょ!」と思った瞬間、突然あることをひらめきました。15年くらい日本に住んでいて初めて!

漢字で「投資」という言葉を直截的に解釈すると「お金を投げる」という意味になります。これだと英語のInvestmentとは全然違う意味になってしまいますが、もしかしたらこのことが日本の株式市場に文化的な影響を及ぼしているんじゃないか、と思いました。つまり、日本人にとって「投資」というのは、ギャンブルかギャンブルではないかは別として、「お金を投げます。どうにかなりますように!」ということなんじゃないでしょうか。

株式市場に関するテレビなどを見ていると、日本では「投資家(Investor)」と「投機家(speculator)」を混同しているケースが極めて多く、混乱しているようにみえます。こんなことだから、逆に本当の意味でのInvestment、Investorが育たない、というのが現状なのでしょう。

日本の個人投資家の中で「それなりに複雑なことをしている」、言い換えると「ソフィスティケートな投資をしている」人達がどのくらい存在するでしょう?アメリカの個人投資家と比較してみたら、恐らく日本の個人投資家のほうが比率は少ないと思います。アメリカだと一般の人でもInvestmentとTradingを別物と考えていますが、日本では株を売ったり買ったりする人はみんな投資家だと言われてしまい、区別がつかないように見えます。

もしかしたら「投資」という日本語を変えないと、「Investment」に対する考え方が変わらないかもしれませんね。「投資」=「お金を投げる」という単語に対してそれ以上のことを求めるのはいかがなものでしょう。

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