原油価格の下落については様々な議論があり、アメリカ、ロシアも含めた原油戦争が繰り広げられているとか、いろいろ言われています。
中東情勢の専門家ではないですが、サウジアラビアなどの情勢を見る機会も増えています。興味深いことに、中東で革命が起きた国は原油が無い国、つまり貧困な国から順番に内戦が起きてますね。ところが一方、ヨーロッパでの革命の歴史を見ると、革命がおこる条件と国の豊かさにはそれほど関係性がありません。そこで思い出したのは、1917年に『国家と革命』でレーニンが提議した革命が起きる3つの条件です。
- 支配者階級が、いままでどおりの形で、その支配を維持することが不可能になっていること
- 被抑圧階級の欠乏と困窮が従来以上に厳しくなっていること
- 大衆の諸活動が著しく高まってきていること
中東情勢を見ると、もともと、一つめの条件にあてはまるようなことがあちこちで起きていました。サウジアラビアについては、原油価格が下落することにより、現金の支給、公的サービスが無料、という現状を維持することができなくなってしまう可能性もあります。政治的にも、王室に様々な変化があって、今まで通りのやり方では国の運営が難しくなってきています。
次に二つめの条件について。中東で革命が起きた国は、貧困や汚職が酷いなかでおきています。僕の知り合いの某企業の社長が中東に行った際、サウジアラビアに寄ったのですが、
インフラの状態、例えば町で走る車を見ると先進国とは程遠い、と驚いていました。どうやら、ある程度の現金支給はされているものの、それほど豊かでハッピーな状態にある国民でもないようです。少しでも財務的、金銭的な状況が悪化すると、国民は、もう嫌だ、となることがあり得るのではないでしょうか。
そして三つめの条件について。強い警察、軍隊、支配のもとで国を運営していることで有名なサウジアラビアですが、国内でも少し焦りが出ているのではないでしょうか。支配がそれほど十分に強く及んでいない可能性もあり得るので、サウジアラビアを起点とした革命に近い状態が勃発しやしないか、ということを懸念しています。
以上、3つの条件にあてはまってきているのじゃないか、と感じ、中東情勢に注目しています。