アリババ
~成長が当たり前な中国企業~

このブログではこれまで何度か消費税率アップや法人税の引き下げといった税制に絡む話題を取り上げて、僕の考えを書いてきました。「モノを買うときに税金を払う」というのは本来すごくフェアなことです。現在、平均的な日本人の世帯は先進国の中で最も低い税率を享受しつつ、他の先進国に引けをとらない社会保障を受けているわけで、こういう人達の税率を上げていかないと財政が本格的に良くはなりません。また、前回のブログで書いたように、日本は「稼ぐ人にバツをつける」かのような税制ですが、「稼げば稼ぐほど、儲かれば儲かるほど税金を取られる」のでは、成長へのエネルギーが出てきません。そして成長のない社会では、企業が国際競争に勝てなくなります。

一方で「日本はそれでいい」という考え方もあります。経済はそんなに成長しなくても、人としてはみんな平等でいい、と。しかし、日本人、日本社会がそう決めても、隣の国々、世界の国々はそうではありません。世界の中で日本が他の国と競合していく上で、伸びなくていい、稼げる人からお金をたっぷりもらう、という考え方のままでは、さらに日本を弱くしてしまうんです。

先日中国に行きまして、アリババ社のプレゼンテーションを聞きました。アリババというのは中国で知らない人は一人もいないような電子商取引の大企業です。

アリババは2009年から、毎年11月11日(シングルズデー、独身の日)に大型セールをやっています。すごい人気で去年はシステムなどがパンクしてしまったんです。2013年も11月11日にまたセールをやって、アリババのグループ会社タオバオ(日本の楽天と似ているショッピングモール)で一日に売れた量が日本円にすると5000億円強!サイトを訪れたビジターが4億人!それでも今回はシステムと物流がパンクせずに、数日後すべての人達に買ったものが届いたんです。タオバオは単に安売りの場、中国のものは安かろう悪かろうと思いがちですが、実際には非常に広いレンジの商品が販売されています。どでかい国の中で数億人もの人々がいろいろなものを求めはじめているし、それに対して企業も、ものすごく成長しています。

ここのシステムがなぜパンクしなかったかといえば、アリババ・グループのマネジメントが究極的に「クラウドコンピューティングの会社」になっているからです。物流データや全てのユーザーの購買履歴などいろいろなものを持っていて、それを物流会社と早い段階でシェアし、物流会社に「この倉庫がいっぱいになりそうだから、違う倉庫に送ろう」などと、アリババがコーディネートしていたんです。

コオペレーション型(協力型)の新しいビジネスモデルが生まれています。参加する人は数億人。これは私達の隣の国で今起きていることです。そしてアリババは儲かったお金でまたまた成長へと向かいます。中国にいると成長がすべてという思想が主流で、その隣で「うちは別に成長しなくていい」というので済むのか?と気になりました。

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