新人の活躍

ひとりの中学生が、日頃は新聞などで脚光を浴びることのない将棋界を目立たせていました。藤井四段、プロデビューから29連勝。とうとう7月2日に敗れてしまいましたが、敗れたことがニュースになるのですから、何ともすごい。新人が突然勝ち続けると、調和に乱れが生じるので、新人の偉業をほめる一方で、旧勢力がだらしないかのように責める意見も出そうです。

サッカーのJリーグが始まったころ、高卒新人の城選手が開幕戦から4試合連続ゴールを決めて大活躍をしていました。その頃、プロ野球の解説者の方が、サッカーにプロができて人気が高まっているけど、高卒新人がいきなり活躍できるようでは、レベルが低い、野球の世界ではありえない、などというようなことを仰っていた記憶があります。野球の世界には、それから数年して、横浜高校から松坂投手がプロ入りし、新人の年から大活躍。どこの世界でも、勝負は、経験年数だけでは決まりません。

ビジネスの世界でも、ベンチャー企業が急成長していると、その企業や経営者、旧来の勢力に対し、似たような感情が生じるのではないでしょうか?幸運だけで、成長しているのか、旧勢力を圧倒する実力があるのか、未開拓の分野を独走しているのか。見極めがうまくできれば、投資チャンスが高まります。シェアードリサーチでは、上場個別企業への投資の見極めをしやすいように、取材に基づくレポートを作成しておりますので、弊社ホームページから入手され、ぜひご活用ください。

月と翻訳

6月に入りまして、東京は梅雨の時期だからか、雨模様の日が多くなってきました。仕事からの帰り道、空を見上げても、曇り空で月の見える日が少なくなっています。ただ、たまに見えた月がきれいだったからと言って、男性がやたらに他人に、月がきれいですね、とは言ってはいけない、という話も頭によぎりました。

それは、典拠不明の一種の伝説、テレビドラマではネタとして使われたこともあるようですが、夏目漱石さんの逸話があるからです。漱石さんが英語教師をしていたころ、教え子に、「I LOVE YOU.」の日本語訳を聞かれて、「日本人なら、月がきれいですね、とでも訳しておけば伝わる」と言ったという話です。現代では、その意味を知らない人に言ってしまうと、何言ってんだろ、この人、と引かれる恐れがありますが、漱石さんの時代には、実際に使われる自然な日本語にするとこうなる、という逸話だったのだろうと思います。

シェアードリサーチには、和文レポートを翻訳するグループ企業がありまして、英語圏の人ができるだけ自然に読めるような翻訳になるように心掛けています。原文に忠実に訳すと、実際にはそういう言い方はしないでしょう、読みにくい、という文章になる恐れがあるので、意味を汲んで自然な言い回しで訳すようにしています。さすがにビジネス上、先の夏目漱石さんの例のような文学的な翻訳にはしていませんが、このように言えば英語圏の人にはわかりやすい、という文章になるよう、作成しています。

決算発表から株主総会への繁忙期を迎えて

五月に入り、寒くもなく暑くもなく、過ごしやすい日が、何日かありました。東京は、もうすぐ梅雨入りしてしまいますし、暑い日も多くなってきましたが、五月は、一年のなかでも比較的過ごしやすい気候だと思います。一方、五月病というこの時期特有の不調もあります。これは、寒さが和らぎ身体的な不快感が減じたために、精神的に考える余裕ができた状態で、4月からの新年度開始で考えることも増えて、悩みやすくなるのかな、と思ったりもしました。寒すぎたり、暑すぎたり、身体的にサバイバルに懸命な状況では、五月病は生じにくいかも、と。あくまで、個別事情を除いての話でありますが。

危機的な状況に追い込まれているとき、猛烈に忙しい時、生き残るために生命力をひねり出して体が戦っているときは、不調を感じている余裕もないでしょう。以前に、サッカー日本代表の監督のオシム氏が新聞紙上で、野犬に追いかけられているウサギが、逃げている途中に脚がつるということはない、と、試合中に脚がつった選手を叱るコメントをしていました。選手には気の毒ですが、身体の不調の原因に精神面が取り上げられてしまうのは世界共通なのかと感じました。

日本では、3月決算の会社が多いので、決算発表、決算説明会、投資家対応、株主総会、とIR担当者も多忙な時期でいらっしゃることと思います。何とか無事に乗り切ったうえで、その後に体調悪化を招かないよう、ソフトランディングに留意していただければよいな、と思います。

東京での通勤

4月になり、入社や転勤で東京にて通勤を始めた人が多いことかと思います。混雑は、もう何十年も変わらない事象ですが、ここ数年の変化としては、私鉄の各路線が相互乗り入れし、相当な長距離区間がシステマティックに時間制御されるようになった、ということがあげられるかな、と思います。

この時間制御は、平時は大変便利で、よくぞここまで、と有難く思います。ただ、異常が生じると、ものすごく遠くまで影響が及びます。ドアに傘が挟まった、などのトラブルで1分でも異常に時間がかかると、隣の県の遠くの方の電車の時刻表まで変更を余儀なくされます。ひとつのトラブルが、首都圏の何十万人の人に影響を与えてしまう、結構おそろしい仕組みになっています。自分だって、いつトラブルの元になるかは、わかりませんから、気を付けないといけないな、と思います。

自分が何分の電車に乗れば、何分に目的地の駅に到着するかがネットでわかり、降車は、どこの車両が便利なのかも駅のお知らせでわかり、ずいぶんと効率的になっていると思います。ただ、それでもたまに、非効率の元になるトラブルは生じてしまいます。

想定外のことが生じると、株式市場では大きく価格が変動します。逆に、通常と違うことでも、想定の範囲内であれば、価格変動は小さくなるかな、と思います。投資家の視点から、企業のことをなるべくたくさん想定できるよう、シェアードリサーチは企業様の内容をレポートにしています。新社会人の方も、ぜひ利用してみてください。

競争を続けるということ

おかげさまで、シェアードリサーチは、設立8年の記念日を経過しました。弊社のクライアント様のなかには、創業200年を超える先様もございますので、事業を長く継続するのは立派なことだな、と改めて思いました。

継続といえば、最近の話題では、サッカーの三浦選手。50歳でプロのサッカー選手として、試合に出場しました。プロサッカーの技術的なことは、素人の自分にはわかりませんが、体を動かす大変さ、10代や20代の人たちと競走することが、どれほど大変かは、たまに運動らしきことをしてみる自分にもわかります。何かの取材で三浦選手が語っていたと思いますが、試合に出ることも大変だけど、試合に出られるような状態に準備しておくことが大変なのだ、という趣旨の発言が印象に残っています。自分の体力の低下、競争相手の技術の向上、期待される役割の変化、など様々な要因を調整し、自分のレベル、商品価値を高く維持し続けなければなりません。逆風に屈し、努力をやめてしまえば、価値が下がり、そのまま市場から退出させられてしまいそうな、厳しい競争環境と思われます。

長い間には、逆風の時期というのが存在するでしょう。その逆風の時期にも、努力を継続してきた証が、継続期間の長さに反映される、だからこそ立派なことだな、と考えさせられます。ベンチャー企業の革新性のニュースは、よく目にしますが、歴史ある企業へのリスペクトも保持しておきたいな、と改めて思いました。

公平な競争の追求

オリンピックの男子400mリレーで、ある国の選手がドーピング再検査陽性という報道がありました。もし事実とすれば、ルール違反なので、失格も仕方ないところでしょう。競争は公平であるべきだ、という考えには与しますが、一方で公平というのはどこまで追求できるのか、とも思う機会になりました。

スポーツであれ、勉強であれ、努力に比例して競争の結果が出るのであれば、公平と言えるでしょう。しかしながら現実には、努力する環境は各人で全く異なるし、努力以前に遺伝子が違います。環境面では、受験勉強でも進学塾に行けるかどうかで有利不利がある、という考察を見かけます。

そもそも完全に公平な競争というのはなくて、多少は不公平な部分があるものの、なるべく不公平を小さくして競争するほうがやる気が出るよね、という程度で済めば難しい話にはなりません。しかし、金銭が絡んでくると、なるべく、の程度が大きくなり、ルール違反への処罰がきつくなるでしょう。株式投資でも厳しい規制があります。

シェアードリサーチでは、投資家間の情報格差を小さくして、なるべく公平な条件で投資競争が進めば、市場が発展するだろう、という期待を込めて、企業分析レポートを公開しています。同じタイミングで同じ情報を見たうえでの投資判断の違いによって競争が生じれば健全ではないか、長期的には健全な競争環境のほうが株式市場の発展に望ましいのではないか、という仮説を立てて仕事しております。

箱根とフェアバリュー

年末年始、スポーツイベントが多く行われていました。

ボクシングの世界戦、サッカー天皇杯、箱根駅伝、高校サッカー、と見る競技に個人的な偏りはありますが、だいたい毎年、似たようなプログラムで観戦しています。

中でも、箱根駅伝の世間での注目度は近年急速に高まり、活躍した選手がなぜオリンピックで勝てないのか、という発展した意見まで見られます。ただ、この大会、関東学生陸上競技連盟に所属している大学というのが出場条件で、認知度は高いものの、全国大会ではありません。カテゴリーとしては、関東大会に近く、ワールドクラスの大会とは、開きがありますので、箱根で活躍したからオリンピックでも、というのは、選手にとって短期的には酷な期待だと思います。

箱根駅伝のレベルが高いことは認めたうえでの話ではありますが、世間の認知度と、フェアバリューが一致しないことは、よくあると思います。株式市場においても、認知度が高いゆえに、買われすぎの銘柄、またその逆に、よく知られていないゆえに割安な銘柄、があるということを耳にします。

シェアードリサーチのレポートは、フェアバリューを見つけやすい構成にしています。戦略的な露出度の大小によって認知度が上下するのは、ある意味で健全だとは思いますが、一方でフェアバリューの認識も投資判断には重要と思います。本年もよろしくお願い申し上げます。

車と性格

ボーナス、クリスマスと買い物への誘惑が多い時期ですね。最近では、若者が車を買わなくなったと耳にすることもありますが、私の世代では、経済的余裕があれば、車を買いたい、と思う人も多いのではないでしょうか?
そんな折、ブルームバーグニュースで、「ヘッジファンド運用担当者が乗る自動車は、その運用者のリスクテークや市場を上回るリターンを挙げる能力を物語る」という記事を見かけました。それによれば、派手なスポーツカーの持ち主は、リスクを好むからボラティリティが高く、リスク調整後のリターンが下がる、とのこと。フェラーリではなく、ミニバンに乗っている担当者のほうが、運用は手堅いようです。
ファンド選びでも、人材採用でも、少ない情報から、人物の特徴を理解しなくてはなりません。車を持っている場合には、何を持っているのか、聞いてみると、意外と役に立つかも知れません。
シェアードリサーチのレポートは企業の情報を詳細に記載しています。経営者の車の情報までは、必ずしも調査していませんが、それに代わるような、何らかの指標、目安のようなものは、網羅したいと考えています。リスクテークにしろ、他の目安にしろ、求めるリターンに見合って判断されればよく、いろんな受け取り方があって、株価も形成されていくでしょう。当社としては、中立的な立場でお役に立つ情報をたくさん盛り込んでいきたいと考えておりますし、こんなことまで載っているのか、と感じてもらえればうれしいです。

米国のTPP不参加

米国大統領選の結果により、米国のTPP不参加がほぼ決定的となっている。米国の不参加がどうなのか、日本国にとってどうなのかを、ここで論ずるわけではないが、強く思うことがあった。それは、膨大な時間が無駄になったな、ということである。

TPP参加について、日本も米国も、大量の関係者が、準備作業に関わってきたであろう。些細なことまで漏れがないよう、詰めてきたに違いない。ひとつひとつの局面で、反対意見があれば、資料を用意して説得し、公式、非公式の打合せを何十回も重ねてきたものと思われる。その過程では、評価された人、外された人、人生を左右してきたこともあろう。これがライフワークだと、人生を捧げて頑張ってきた人もいるのではないだろうか。
それが、大統領選の結果により、すべてが、なかったこと、になってしまうかもしれない。この経験を生かして、と、他のことで役に立つことがあるかも知れない。しかし、成果を目指して捧げてきた個人の情熱や費やした時間、人生は取り返すことができない。何ともせつない。
それに比べれば、株式投資の損失は、他で取り返すチャンスがある、と言えなくもない。リスクについては十分な理解が、後々の精神的ダメージを小さくすることに寄与します。株式投資にあたっては、シェアードリサーチのレポートに目を通していただけると、リスクについても理解を深めることができると思います。ホームページに掲載していますので、ご利用ください。

渋谷のハロウィン

アパレル企業の決算説明会や取材に行くと、洋服が売れない、という話を最近よく聞きます。可処分所得にゆとりがあるにもかかわらず、洋服が売れてない、ということであれば、買った服を着る機会、見られる機会があまりない、ということではないかな、と思っていました。
ハロウィン直前の週末に、渋谷でコスプレを見せ合う光景が広がっていた、という報道がありました。集団行動によるネガティブな面が気になり、苦々しく思うこともあるでしょうが、経済的にはそのイベントに起因して、一定の需要が発生しています。たった数日しか使わない衣装や雑貨にコストをかけている人たちが、相当数で発生しています。ここでは、買った洋服を着る機会があると、新たに消費が生まれるという事象に注目したい。先日、あるテレビ番組で、年金受給世代の男性に取材していましたが、ここ10年以上、洋服を買ったことがない、という回答者が多く放映されていました。真偽はともかく、新たに洋服を買う意欲がないという人たちは、結構多いのではないかな、と思います。
センスのいい高品質の服を製造販売する、ということは、たくさんの企業が努力しています。それでも需要がなくて、洋服が売れない。有効需要が創出されるような外部環境の変化、例えば、クールビズのようなビジネスシーンの変化、ハロウィンのようなイベントの増加、などが現状を打破するきっかけになるのかな、と渋谷の群衆を見て、ふと思いました。