中小企業のセンチメント(2)
~税制が成長マインドを阻害している~

日本は、人が本当のお金持ちになって、お金持ちで居続ける、そして自分の次の世代にも自分が作った資産を渡すということが絶対にできないような税金システムになっています。

僕が繰り返しブログに書いている法人税カットというのは、中小企業にとってはそんなに大きな話ではないです。日本の中小企業経営者で成功している人達は、「いくつかの会社を持っていて、みんな小さくて、利益がちょっとだけ出ています」というのが、僕は一番多いのではないかと思います。

なぜなら、大きな利益を一社で出すメリットが限られているからです。法人税がかかるだけでなく配当に対しても税金がかかるし、配当しなければしないで留保金課税というのがあります。他にも費用計上などいくつかルールがあって、基本的には「小さく、利益があまり出ない」というのがベストなんです。

前回も書きましたが、そもそも起業したい人が少ない、失敗するのが怖い、経済が成長していないのでチャンスが少ない、でもちょっと成功したら、「ちょっとの成功からかなりの成功に移る」ときにものすごくお金を取られるから、平均的にこういう姿になります。

この問題について世論として全く議論がされていないのは、中小企業のオーナー達が、そもそもこれを問題だと思っていないからです。ずっとそうだったから。それに日本人特有の仕方ないっていう考え方もあって議論にならないんです。それと多くの人達はサラリーマンであって、この問題に全くあてはまらない、悩まされてないので、世論が形成されない、というのもあります。

大きな企業は小さな企業よりも安定します。大きな企業が逆風に対してサバイバルできる、ということだけでなく、企業が大きくなるとプロのマネジメント、専門家を雇えるということが大きいと思います。そうするとマネジメントの質が上がります。小さいままだと、例えば数社小さい会社を持ったところで、オーナー以外は優秀な人が経営に携わる確率が低いでしょう。そうすると、経済全体においてマネジメントスキルの成長が限られます。(ちなみに、大企業間のマネジメント専門家があんまり移動しないのも問題です。)結果としてもたらされるのは、人を安定して雇えないということと社員に高い給料を払えないということです。ある意味で悪循環が出来てしまいます。その悪循環に影響されているのは日本の労働人口の7割を占める中小企業の社員です。ここはみなさん気づいていない大きな問題だと思います。

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