経済的な不安定化への対処策

千駄木から見た市場経済 Vol.6

みなさん、お元気ですか。Olegです。

それでは前回の「経済的が不安定化になることをどうやって防いでいくのか?」という質問に向き合って見ましょう。対処策として最初にあげるのは社会保障費の削減についてです。

社会保障関連の支出が膨らみ始めたのは高齢人口が急に増加した時、ちょうどバブル経済が崩壊して日本経済が低迷し始めた時期と、たまたま重なっています。
戦後経済の成長を支えた高齢者に手厚く分配する事は社会的に賛同を得やすい事ではありますが、その支出がこの国を沈めて行きます。
しかし現在の選挙制度ではこの給付は止められません。ご存知の通り選挙区分でみても都市部に多い若年層は増え続ける高齢の有権者に負けてしまいます。その高齢有権者の大半が自分の余命を国から受け取る年金に依存している現状では変わるはずがありません。したがって納税者である現役世代は税金を払わない年金生活者という負債を抱え込んでいる、とも表現出来ますね。

日本は今後も今のような社会保障、年金、医療の支払いを続けるなら崩壊してしまうでしょう。しかし、選挙制度の抜本改革(格差是正)が行われない限り、現状を打開する抜本的な改革は無理でしょう。

僕のある友人はブログで日本の現状をこのように指摘しています。
「日本は徐々に基本的な国家機能を果させなくなっている。インフラ、教育、基礎研究に使われるべき 国家予算が全て国債の返済、社会保障プログラムになってしまっている。」

日本で削減可能なものといえば社会保障費だけです。他を探しても余分なお金はありませんね。

話変わって「増税」についてです。
欧州出身の僕はEU各国並の水準に消費税率を引き上げることに賛成します。前に書いた通り、日本はもし23%まで消費税を上げれば財政収支を黒字化することが出来ます。但し黒字化出来たとしても赤字国債を減らすことにはなりません。今まで通り低金利で政府の予想通りGDPが2%成長するのであれば予算は大丈夫です。

増税はGDPの成長を減速させる、というのは事実です。
増税すれば歳入は本来増えるはずだが、増税の影響で経済成長が鈍化してまわりまわって結果的に歳入が減ってしまうという可能性もひょっとしたらあるかもしれません。そうはいっても今回政府は消費税の増税を選択しました。

他に増税の可能性はあるのでしょうか?つぎのような課税増税が可能です。
・年金課税 ― 欧州の一部で実施されている年金を所得とみなして課税する、年金削減にもなる。
・煙草、アルコール税 ― 健康に良くない、とされるものを増税することで医療費が削減される可能性あり。
・競馬、競輪、パチンコなどギャンブルに対する大幅増税とカジノの合法化による課税。
これらはそれほど多額にはならないでしょうが歳入増加に一定の効果をもたらすでしょう。

冒頭に申し上げた社会保障関連支出を補足するために、下の図を紹介したいと思います。日本の社会保障給付と負担を世代別に見たものです。

社会保障給付と負担(世代別)
(出典:MHLW)

目を引くのは図の右側の方にある塊(負担)の大きさであり、それを軽減する一手段として、現在議論になっている定年(年金給付)年齢の引き上げもおそらく必要になってくるのではないのでしょうか。

事実として65歳以上の就業率のデータを見てみると、寿命が延びているのに就業率が下がっている傾向があります。そのことは、経済成長によって生まれた余裕により、早めに引退できているとも言えますね。

次回は、定年年齢の引き上げに関連するデータの提供と、年金関連の解決策をいくつかあげていきたいと思います。

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