日本人と習い事

自分には小学生の娘がいますが、結構幼いころからから水泳やバレエを習わせています。東京でスクールなどに通っているわけですが、子どもに対する習い事への親の注力の具合について、日本と欧州諸国の人々では、ずいぶん違うように思います。

私の母国、東欧エストニアの水泳連盟は、国際レベルの試合に向けた練習回数の目安として、中学生未満では週3回まで、中学生では週4回、高校生でも週5回までとしています。一方、日本では本人が頑張れるのであれば、7歳から週8回の練習が可能ですし、他のスポーツ種目においても同じく練習漬けにできるそうです。野球など、日本が世界の上位に入るレベルのスポーツともなると、子どものうちから1日2回の練習も当たり前にこなしています。国際大会に出るクラスのスポーツ選手になるには、天賦の才能がなければ、いかに練習漬けにしようとも達成困難ではないかと思いますが、練習すれば誰でも一流選手になれるかのごとく、多くの子どもたちが猛練習を課せられている、というか打ち込んでいます。小学生くらいの子どもは、自分の意志で練習しているのかどうか疑問に思うときもあります。

習い事だけでなく、日本では、学校が終わると塾へ行く子をたくさん見ます。結構、お疲れな子どもが多いんじゃないかな。それでも残念ながら、アジアの中で、数学の学力では負けているとか言われており、少し気の毒かなと思います。他の国の子どもがもっとがんばっているのか、何か効率が違うのかはわかりません。欧州では学校が終わってからは、レクリエーションとしてスポーツをやるくらいで、塾に行くという話を聞いたことは、あまりありません。ところで、東京で育てているうちの娘は学校が終わってから、水泳またはバレエに行き、宿題をしてから寝ています。エストニアで育った自分は、子どもの頃は、とにかく遊んでばかりでした。遊んでばかりで塾に行かなかったゆえに、社会人になってから何かハンデを感じたということは、ほとんどありません。では、どうして自分の娘にそんなに多く習わせているのだろうか。それは東京の空気によるものなのだろうか。

なぜ、自分も含めて、親は子どもにタイトなスケジュールで習い事をさせているのか、日本の空気に流されているのか、欧州の子どもは、なぜそれほどまでにはしていないのか。自分の子ども時代を思い出しても、欧州の子育てを見ても、やらなかったからといって大人になって何か不自由を感じるとは思えないにもかかわらず、自分の子どもには時間いっぱい習い事をさせてしまっている。世界のどこに住んでいても、親が子どもに期待すること、幸せになってほしい、という気持ちは変わらないでしょうから、さまざまな方向に伸びてほしいという期待分野のうちで、実現させやすい環境にあるものを選択して育成する、バイアスがかかってしまうのでしょう。日本では、子どもが遊んでばかりいられる環境に乏しく、習い事をたくさんする環境が相対的に充実しているがゆえの、親の選択行動が生じているのかも知れません。

とはいえ、子どもが将来どういう人物に育ち、どんな人生を送るのが、親も子も幸せなのか、それは、社会的に成功すれば幸せになることが確実というものでもないでしょう。難しい問題ですから、どこの国、地域で育てようと、無理のない範囲で、充実した子ども時代を過ごしてくれればいいのかな、と思っています。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>