日本とブランディング
~なぜウォシュレットは日本にしかないのか?~

トイレに行くたびに思うんですよ、ウォシュレットを見て。あれがないと僕なんかはもうサルですよ、サル!「一日中クサいお尻で歩かなきゃなんないんですか?」ってそわそわしちゃう。でも、世界中でウォシュレットが普及しているのは日本だけなんですよね。で、ウォシュレットを見るたびに、日本って自分のブランドとかやり方を世界に売りこむのがなんてヘタなんだろう、って思うんです。

海外の人達は、ほとんどウォシュレットの存在を知らないんです。不思議ですよね。でも、僕の外国人の友人は日本でウォシュレットを使ってみて感動して「輸入したい」なんて言ったりしますから、海外でも十分受け入れられる製品だと思います。

ウォシュレット、といいますか日本の素晴らしい製品が海外で認知されない、というのにはいろいろな事情があります。例えばアメリカでは販売チャネル。歴史的に日本の会社ってそもそもグローバル・イコール・アメリカだったんですよね。で、そのアメリカでは、現地のディストリビューターが全部メーカーと繋がっていて、日本のメーカーが入れなかったんです。TOTOとか、全然シェアがないんですよ。だからTOTOじゃなくて、LIXILがアメリカンスタンダードを買収したりしてるんです。

いっぽうヨーロッパの場合は地域性というか、ヨーロッパ人の特性が要因になっています。「出来てないこと」ってどこの国にもあると思うんですけど、日本人の場合は結構問題意識があって、謙遜というか謙虚というか、自分でこれじゃダメダメっていつも言ってるんですよね。でもヨーロッパ人の場合、出来てないことも「出来てる」と思ってるんですよ。いやこれは当たり前だ、と。トイレにしてもヨーロッパの技術ってすごく古いと思うんですけどね。

自動車のトランスミッションでマニュアルとオートマがありますけど、ヨーロッパだけは8割がマニュアルなんですよ。オートマが壊れやすいとか燃費が悪いとか、今じゃ妄想みたいなことが固定概念というか先入観として、いまだにヨーロッパに残ってるんです。だからヨーロッパ車で一見マニュアルのような操作感になってて、実はオートマ、なんていうのがありますよね。これもまた人間の不思議さというか、それぞれの国の、それぞれの地域の違いというのをすごく感じます。

そんなこんなで日本はめちゃくちゃ優れた製品を作ってもそれをまったく輸出できない。で逆に海外で「不思議な日本」として紹介されたりしてるんですよね。「日本のトイレに入ると全部自動でやってくれて、なんか鳥の声までする!」みたいな感じ。

日本の中でアベノミクスとかクールジャパンとか、全部トップダウンで官僚が考えると変になっちゃうんで、もうウォシュレット、とにかく売りましょうよ!と言いたいですね。官民プロジェクトを作って、最初はリターンが低くても!無理やりそういう会社を作っちゃうのはどうでしょう?

無関心なことこそリスク
~グルメ番組見てるだけじゃダメ!~

「一票の格差」の話ってどうなったんでしょう?なんだか中途半端ですよね。こういう流れになるんだろうなあ、と思ってましたけど、見てて疲れますよね。本気さが感じられない!政治がこうだから、今の金融市場でも「経済も同じなんじゃないの?」という反応になってると思いますよ。

政治を動かしてる人たちが年寄りなんですよね。別に年寄りが悪いわけじゃないんですけど、年をとると「変われない」んですよね。守りにはいっちゃう。

参議院選挙でも自民党が完全に「支配者」でしょう。そしてこれは「元通りになった」ということです。新しい党が生まれても人材やマネジメントのプールがない。企業経営の世界でも同様で、社外取締役の制度がなぜ成り立っていないかというと、そもそも社外取締役という経験のある人がいないんです!なぜオーナー社長がずっと消えないのかというと、雇われ社長にプロがいないんです!

今回の民主党もまったく同じ。自民党でうまくいかなかった人たちが集まって、政権をとって、かっこいいステートメントを話すのはいいんだけど、実行力がない。そうすると結局実行力のある人達、つまり自民党に政権が戻る。でもあの人達は年をとってるからすごく保守的で、変わらない。

あとメディアの問題もありますね。政治も含めて、いろんな問題について、80%くらいを笑いながら話す国は日本だけ!全国ニュースとかの真面目な番組だって笑いながら話してますよね。福島の問題もメディアから消えたし、原発の問題ももうどうでもよくなってるように見えてしまいます。

スノーデンの告発事件はアメリカでは大騒ぎになってて、彼の行為のもつ意味とか是非についてCNNなんかでも議論しているんです。これが日本じゃ伝え方が全然違います。「ああ逃げたよね」みたいな、「でもなんか捕まらなきゃね」みたいな…。ホント無関心。グルメ番組でもやってればいいと思ってるんですかね!

でも、今の政治やメディアの問題って、つまるところ国民が無関心であることが原因なんじゃ?って思うんですよ。「変われない政治」と「真面目な論調を伝えられないメディア」、そんな中で国民が笑いながらグルメ番組なんか見てて、それでいいんですか?って思いますね。

株価の乱高下について

安倍政権がスタートしてから株も為替も絶好調でしたが、5月の終わりからは急降下…。最近も乱高下を繰り返しています。これってアベノミクスの功罪なんですかね?

経済は1日や2日で変わるようなものじゃないです。それと日本はドラスティックなことや構造的なことをうまく進めることが政治的にすごくやりにくい国です。金融緩和は日銀が決めてしまえばそれで動き出せますが、経済構造の改革などはそう簡単にいきませんよね。

5月下旬からの下落の要因は、ズバリ「夏だから」です。要するに投資家心理によるものが大きく、アベノミクスのせいじゃないと思います。アメリカが調整したから日本も調整した、というわかりやすい考え方でいいんじゃないですかね。で、乱高下しているのは機関投資家のやり方が同質化していて、個々の機関投資家が大型化しているので、資金が似たような動き方をするのでしょう。

日本は事実上円安宣言をしているようなもので、それについて他国の政府や中央銀行は抵抗してません。そうすると、大局的には円安の流れが継続するはずなので、年末の為替は100円を下回らない、もっと言うと103円から110円くらいでしょうか?多くの企業は業績見通しを95円位をベースに作っているので、株式市場では大きなポジティブサプライズになります。

5月下旬からの金融市場の調整は一時的なものだと思います。最近、何年間も日本に音沙汰なしの海外ファンドが日本に来て調査をしているようですし、出遅れ組がこの先日本買いを進めていくんじゃないでしょうか?そして、今回は政府がうまくやっているので、細かく材料もいろいろ追加されていくと思います。投資家心理も少しずつポジティブになっていくでしょう。よって、今年後半から来年にかけても日本の金融市場はポジティブに推移すると思いますよ。