エストニア国民IDカードの使用感は快適!

先日一年ぶりに母国エストニアに行きました。寒くてずっと雨が降っていましたが、やっぱり自分の体に合うなあと思いました。

ところで、前話をしたエストニアのマイナンバー制に当たるIDカードシステムなんですが、今回エストニア滞在中にたっぷり使いました。非常に便利です。

日本ではマイナンバー導入に当たって、データセキュリティなどが結構騒がれていますが、エストニアのシステムはアプローチとしてユニークで賢いですので、もう少し紹介したいと思います。

まずは、IDカードに最小限の個人データしか入っていません。このため、盗まれても大した問題にはなりません。ちなみに、このシステムは米国RSA社が提供している高度な認証システムを用いていますのでセキュリティが非常に高いです。実際、このシステムが導入されてから十数年間、一度もセキュリティ面で問題になったことはないらしいので実績は十分にあると言えます。

使い方は簡単です。自分のパソコンに一回だけ認証ソフトをダウンロード。そしてカードリーダーを接続し、IDカードを挿入。ここで自動的にIDカードは有効だという認証を行います。それから各市民に配布された2つのPINコード(ユーザー認証PINコード、署名認証PINコード)を入力します。最近ではスマホ用のモバイルIDも登場し、スマホのみで対応できるようです。

例えば、このシステムを利用して自分の銀行口座にログインする場合、一度自分のパソコンからログインすれば、次回からは自分の国民IDカードを差し込むだけで、ボタン押せばログイン出来ます。万全なセキュリティを求めるなら、作業が終わり次第、カードリーダーを外せばいいんです。IDカードにはデータは残らない上、データベースには大きなデータが蓄積されるわけではなく、各手続きの記録しか残っていないらしいです。このようなシステムなので、データが軽く、安全、合理的ということにとても感動しました。

また、このシステムは会社の労働管理などにも使われているようです。例えば、会社に遅刻しそうなときなどモバイルIDを利用し、スマホから勤怠連絡するとかできるんです。ここも非常に安心安全というか、同じシステムを共有できるので面白いと思いました。

もうひとつ面白かったのは、エストニア政府が仮想エストニア人というプログラムを広めようとしているということです。つまり、このシステムを無料でユーザーに貸し出すんです。エストニア人と同じように生体認証や書類を提出すれば、仮想エストニア国民としてのIDカード、またはスマホのSIMカードにIDカードと同等なデジタルデータを入れることが出きて、エストニアのシステムにログインできるようになります。そうするとエストニアでの(公証人を必要としない)契約がオンラインで締結出来たり、エストニアで会社を立ち上げたり出来るそうですよ。2014年末から他国民への配布が始まるようですが、なかなか面白い試みですよね。皆さんもバーチャルエストニアンになってみませんか?

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