認知症患者と運転免許について

少し前ですが、認知症患者による交通事故がまた起きました。これは高齢化社会というだけが原因で起きている問題ではないと思います。

現在の制度では、免許証の更新期間が満了する日の年齢が70歳以上で免許の更新を行う方は、高齢者講習を受けます。さらに75歳以上の方は、講習の前に認知機能についての講習予備検査があります。しかし、この検査の結果如何に関わらず、免許証は更新されるということです。安全第一の日本がなぜこんな不可解なことをしてしまうのでしょうか。

実はこれ、地方の公共交通網の脆弱さが原因かと思います。つまり、地方在住の高齢者にとって、自分で運転する自家用車が生活の「足」となっています。こんな状態なので、高速道路を逆走したり、アクセル、ブレーキを踏み間違えたりして、他人の命を危険にさらす認知症患者でも、生活のために自動車を運転しているのです。

車道と歩道の区別もできない人の免許を更新し、1トン超の鉄器を与え、他人の命を奪うリスクを高めてもいいのか?というのが大きな疑問です。高齢者も視聴しているから、テレビ各局の報道もすごく遠慮がちで「地方にいる高齢者の生活の足を奪うことができないから、あなたの家族が犠牲になりました」と遺族に言うことは絶対にないでしょう。

2年くらい前にも同じような事故で奪われた命があり、その時も報道がありましたが、状況は全く変わっていません。政府が税金を使いたくないからでしょう。

以前、ラトビア国内をドライブしていたとき、森の中にまでバス停があったことに驚きました。一日一本程度の運行であれば、それほどコストがかからないでしょうが、日本では地方交通網の整備は自治体負担となるため、今のところ認知症高齢者の免許を更新するという不思議な世界になっているんじゃないでしょうか。

認知症の怖いところは自覚がないところです。高齢者講習や講習予備検査は、認知症患者に自覚してもらい、自ら運転免許を返上してもらうためにあると思いますが、生活の「足」がなければ運転を辞める人はでないでしょうね。

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