原発の「本当のコスト」を考えよう

最近の原発再稼働の話題で気になることがあります。独立性のある原子力再稼働委員会を作り、なんとなく再稼働に向けて準備する一方で、本当に日本に原発がいるのかいらないのかという基本的な議論が、メディアからも政府のアジェンダからも消えてしまいました。

日本は昔からエネルギーを輸入しなくてはならない国で、原子力技術もそこそこ進んでいるので、まあ必要不可欠だろう、という議論は、経済人として理解できます。

じゃあなぜブログに書きたくなったのかというと、福島原発関連の、特に最終処分場について「こんなやり方あるんですか?」って思ったのです。結局ある自治体に押し付けて市民はみんな反対しているのに強行するというやり方です。こういうことをする一方で、長期的な保管方法や、これが原因で住民が病気になる可能性など、なぜ計算していないんでしょうか。または、計算していたとしても公表できないんでしょうかね。

例えば一度泥棒に入られて、そこではじめて自宅にセキュリティシステムを入れると、みんな笑います。でも一度入られたらもう泥棒は来ない、ということはなく、二度目も三度目も確率は変わらないんです。同じように今回も福島で一度事故が起きているからもう大丈夫、ということはありません。確率はちっとも変わっていないんですよ。

先日テレビで見たのですが、フィンランドではフランスのアレバ社の原発を建設していて、工期が遅れ、コストが10倍になっているとか。建設地の地盤が非常に安定しているにもかかわらず、安全性確保のため工期が遅れ、コストが爆発的に増えているそうです。

それに対して小泉氏が言っている再生可能エネルギーというのも、これまた高いんですよ。メタンハイドレートも水素も全部高い。ですが、今後原子力発電を推進しても、再生可能エネルギーを選択しても、「これまで原子力に費やしてきたコストは今となっては取り返せるものではない」という前提で今後の選択をしっかりと比較検討するべきでしょう。

原子力再稼働委員会がここまでやれば大丈夫だよねって決めたから事故は起きないだろう、というのはごまかしで、「本当の原発のコスト」を再生可能エネルギーと比較するべきじゃないかと思います。

それともうひとつ、日本が再生可能エネルギーのパイオニアになる、という道があります。そうなると技術の輸出なども可能ですから、確率は低いとしてもシナリオ分析くらいはすべきじゃないかと思います。そういう試算をして、10年20年ではなく、50年後の姿を考えるべきでしょう。

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