センチメントがアベノミクスの成否のカギ

僕が一番懸念しているのは来期の成長率が日銀や政府がターゲットとしている成長率より低くなった場合のリスクです。この時、センチメント、つまり国民感情にすごく悪い影響を与えてしまいますから、消費税増税によって暗くなっているところに追い打ちをかけることになり、個人も企業もお金を使わなくなります。そうすると来年で早くもアベノミクスがパーになるかもしれません。

前回の最後で触れた特区ですが、カジノとか、医療とか、様々な考え方がありますね。経済効果も期待できると思います。しかし、特区が来期の成長に貢献するかというと、恐らく貢献しないでしょう。いまは車に例えるとエンジンをスタートするところですが、かかりそうになったエンジンがまた止まってしまうと、それ以降はもうかからなくなるかもしれません。だから、もともと僕は消費税を来年上げるのはリスクが高すぎる、と思っていました。

それと、国民の利益というか権利を守るという文脈で言うと、実際の政治にはいろいろな利害関係があって、いろいろなプレッシャーグループというか、圧力団体があって、そういう方々の、いまの権利とか一番の関心の分野を守ると絶対経済成長がないだろうと思います。

だから、非民主主義的な政策を考えてみることも必要です。経済同友会のような組織、つまりビジネスを代表している組織の関心分野というか、優先順位をそのまま受け止めて政策を行うべきかもしれません。いや、かもしれないというより、間違いなくそうだと思います。つまり国民ではなくビジネス、言い換えると企業。一方的な政策というのは残念ながら必要です。そうでないと成長しません。

この先の重要なキーワードに「楽観主義」というのがあると思います。つまり、気持ちが明るくなるかどうか、というのが非常に大きなポイントになります。国民全体がいま起きていることに対して、これから良くなる、自分の生活が良くなる、と考えられないようだと、冒頭に触れたようにアベノミクスがパーになってしまうかもしれません。ここはすごく重要なところです。次回は、中小企業の役割と中小企業のセンチメントということについて話してみます。

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