企業が投資したくなるような政策を実現するのは容易ではない

消費税の増税分3%を金額にするとおよそ5兆円になります。また、この5兆円のをオフセットする、相殺するような意味合いでの経済対策5兆円という話もあります。その中には震災復興事業を含む公共事業や民間投資の後押しなどが挙げられています。

この先、目玉になるのが法人税のカットでしょう。ですが、政府内でも政府外でも懸念されているのは、単に法人税を引き下げるだけで短期的な経済効果が充分得られるかどうかということです。日本の企業は保守的で、株主の圧力から比較的遮断されているという特徴があるので、儲かったお金をあまり使わない、という危険性があります。

ですから、どうやって企業に新しい機械を買わせるか、GDPの項目でもある在庫を増やさせるか、そして一番インパクトが大きいことでもある、どうやって従業員の給料を上げさせるか、といったことが課題になります。

いまは非常にサプライチェーンが短くなって、スピードもレスポンスも早いので、在庫を増やす、ということは難しいでしょう。また、設備投資を増やすためには企業が確実にリターン、言い換えると需要の増加を見込めないといけません。

セクターによって違いがありますが、国内で平均的に需要が増加する、というのは想像しにくいですね。特に消費税が上がる年度に全体的な需要が上がるというのは考えにくい!従って輸出企業がリードしなくてはいけないし、恐らくそうなるでしょうが、もう一つリスクがあります。世界的に「現地生産」というのが進んでいて、例えば中国で作ってどこかで売るんじゃなくて、中国で作って中国で売る、ということが増えています。そうすると国内で機械を買うというのはあったとしてもさほど大きな額にならない可能性があります。

需要が伸びていて、法人税が安いところでものを作って売る、というのが論理的に考えてベストです。従って、日本に製造が戻るとか、日本国内設備投資を大幅に増やすというのは、残念なことに考えにくいと思います。

その辺のところは政府も解っていて、設備投資減税などの目的減税や戦略特区、経済特区についても積極的に検討されていますが、いいことだとは思います。でも僕は、これらの政策が物足りない内容だと非常に危ないのではないか、特に来期の成長には貢献できないのではないか、という懸念があります。その辺については次回のブログで話したいと思います。

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