Shimpeiです。
移民後「庶務雑務」から証券業界でスタートした私でしたが1995年以降、日本企業の海外IRが始まりその責任者になる機会を得たことでプロフェッショナルとして順調にキャリアを伸ばすことが出来ました。証券会社にとってIRアレンジをするメリットは会社と投資家のミーティングをセットすることで投資家からの手数料収入の増収につながる、ということですが旅行中の企業トップのお世話は全て私の責任ということになっていて心身共にとても疲れる仕事でした。
日本企業の決算後、株主総会後には毎週のように複数の日本企業のトップのミーティングアレンジからアコモデーションに至るまで全てをチェック(携帯もなかった時代もありましたよ)私もニューヨーク→ボストン→シカゴ、デンバー→LA、SFと全米の有力投資家を東から西に訪問、3時間の時差を超えて往復することが数週間続くことがありました。
日本企業が来ない週にはいつも「体調不良」を理由に1日か2日休みを頂く、それでなければ持たない仕事でした。
そんな時期、休んで出勤した朝、いきなり上司のMD(マネージングダイレクター)の個室に呼ばれたのです。
上司:仕事はとても良くやってくれてるね、でもこの体調不良理由の休みはね
私 :時差ボケもあって大企業の社長相手だと疲労感が残って
上司:わかってるよ、休んじゃいけないっていうつもりはないさ、問題は休む理由だよ
体調不良っていうのは自己管理能力がない、と判断されてしまうよ
私 :じゃあ、どう書けば
上司:僕だったら家族の理由、例えば「家族がいつも出張ばかりだから今日は家にいて、っていうリクエスト」があったとか
私 :(無言)
上司:君も部下もいるんだし「自己管理能力」がない、と判断されたら次の昇進に問題でてくるよ、僕は推薦したいんだけど
私 :家族理由?
上司:Be Smart Shimpei, That’s all.
日本では未だにアメリカ人はとても家族を大切にする、家族が病気だと連絡があれば急いで帰宅する亭主がほとんどなんだ、とか「家族第一主義」が礼賛されているようですが、その大半が事実だったとしてもこのように「自己管理能力」と引き換えに使われる「家族」もあるのだと(苦笑)。