民主主義という名目の変化(新しい選挙制度)

Shimpeiです。

以前このブログで現行選挙制度の違憲判決の話を話題にした時、現行制度の「1票の格差是正」より超高齢化社会における新しい選挙制度を考える時が来ているのでは、と書きました。

各高裁においての判決は「選挙無効」というのは2つのみでしたが制度については全て憲法違反との判断がなされましたね。とはいっても格差が2倍未満であれば違反にならないという前提での判決であって、選挙制度改革があったとしても、ますます高齢者は増え続けるわけで、これではOlegの指摘するような社会保障費削減によって財政改革を行う政治が台頭してくることはないかな、と私は思います。

消費税の税率5%アップで、政府は13.5兆円の追加税収を見込んでいますが、そのほとんどは高齢者への社会保障費(年金・医療・介護)に充てられます。政府(財務省)は、それだけではなく「未来(子ども)への投資」も使う、と宣伝しています。しかし、その額たった0.7兆円、将来の日本を支える世代へ消費増税の5%もって「未来への投資」といっています。あの2年前の「東日本大震災」の復興財源を捻出する際にも、引退世代が恩恵を受ける「公的年金」は削減対象にならなりませんでしたが、子育てを行う若い世代が恩恵を受ける「子ども手当」は真っ先に削減の対象となりました。

このような世代的な不均衡配分がまかり通るのは選挙区割りが地理的な区分けで、各地方の選挙区から選出された地域代表を通じて、社会全体の利害を議会に反映させるシステム、言い換えれば「高齢者」に圧倒的に有利な仕組みになっているからでしょう。

最近こうした視線でネット検索や本屋にお書棚に注目していくと以下の提案が見られます。

  • 井堀利宏・東大教授による「世代別選挙区制
  • 「有権者の世代」に応じて選挙区を配置し、議席を配分した上で、それぞれの世代の代表を選出する制度を提唱しています。
    世代の分割方法はいくつかのケースが考えられ、例えば、20~30代の「青年区」、40~50代の「中年区」、60代以上の「老年区」の3つの世代ごとの選挙が実施されれば全有権者に対して20~30代の有権者が占める割合は32.5%、40~50代の有権者が占める割合は32.7%、60代以上の有権者が占める割合は34.9%となり、青年区、中年区、老年区の議席数は概ね同等となり20~30代の議員数が倍増され、若い世代の望む政策が実施される可能性が高まります。

  • 竹内幹・一橋大学大学院経済学研究科准教授による「余命別選挙制度」(中央公論4月号

    各世代選挙区に、その世代の平均余命(あと何年の寿命があるか)に応じて議席(議員数)を配分し、投票権と余命をリンクさせることを提案しています。たとえば、いま25歳の人の平均余命は57年で、55歳の平均余命29年の約2倍。そこで、20代選挙区には議席を多く配分し、その有権者1人当たり議席数が、50代選挙区の2倍になるようにする。若さに応じて1票に格差をつけるわけです。移行期を除けば、生まれた年にかかわらず、どの人も生涯を通じて同じだけの投票力を持つので、「投票価値の平等」は担保される、というものです。

    国民一人ひとりが平等に権利と義務を持つのが民主主義。「1票の格差」を当て嵌めれば単
    に選挙区割りの不平等性を司法判断に仰いでいる現状ではこうした諸提案を含めて必要で
    ある改革が可能になるにはいつの日になるのでしょうか。

    国民の多数が「長期的に問題あっても現状はほぼ幸せなんです、何かあっても皆で渡れば怖くないでしょ。」といった短絡的な楽観主義から早く目覚めて現実を見つめ直し、
    動き始める時期を繰り延べする理由も余裕もなくなってきている、と私は考えますが。

  • コメントを残す

    メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

    次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>