日本の経済政策は諦めかな

先日の安倍首相の記者会見で経済政策をやります、ということを言っていました。ただ、よく聞いてみると、公共事業はいつも通りの様子。道路、橋、港をキレイにすることは素晴らしいことだとは思いますが、それ以外の主な政策が何かというと、笑ってしまいます。

その一、国民に現金支給
その二、国民に現金支給
その三、国民に現金支給

これを選挙前に行います。もちろん野党には同じ事ができない芸当です。納税者のお金を使い、ほぼ現金で配って支持率を維持する、という考えが透けて見えます。

少し風邪気味ですので、ひょっとしたら僕の分析力が落ちている可能性もありますが、現金のバラマキ以外に何も見えないんです。

まさかと思ったのは、プレミアム商品券です。以前、エコカー減税で、国内の自動車市場を壊したじゃないですか。その経験則に鑑み、プレミアム商品券の実施で何が起きるかというと、今買わないと割引にならないので、みんなが欲しいものを買います。当然、高額商品を中心に消費が盛り上がりますが、来年、再来年はどうなるんでしょう。今買うべきだから買うという訳ではなく、前倒しの消費なので、消費サイクルを狂わすことになり、次の年は消費が落ち込むことになるでしょう。そんな中で消費増税を行うらしいですが、消費が落ち込むのに増税を行えば、どうなるかは目に見えていますよね。

消費税率を上げないと財政問題の解決が不可能だということは、みんなわかっていることです。ただここでは、増税を後倒しするのが正しいように思います。財政政策としてやらなければいけないのは確かなんですが、全ての政策を中途半端にやるのは、中途半端に抗生物質を飲むのと同じような感じです。

本来ならウイルスの強さと同じ分だけ薬を飲まないといけませんが、1日だけ摂って2~3日は何も飲まずに、その後また抗生物質を摂っても、ウイルスが強くなるだけで、効かないんですよね。

日銀の方は背水の陣でベストをつくし、金融政策を精一杯やっているというのに、政府の財政政策はもう諦めなのかな、という感じにしか見えないです。

マイナス金利

ビジネススクールのINSEADに入った時、もともと金融関係の知識がほとんど無かった僕には、一番ためになって、迫力あるコンセプトと感じたのは「現在価値」でした。

現在価値というのは、適切に使えば会社の価値、お金の価値、ビジネスの価値がわかるので、ロジカルで面白いものです。このコンセプトのもとにあるのが、「今日の1万円と1年後の1万円のどちらが欲しいか」という話です。合理的な人であれば、大半は「今の1万円がいい」となるかと思います。今もらわず、1年待って1万円をもらうということに対して何らかのご褒美がなければ、1年後の1万円を選ぶ人は少ない。そのご褒美が金利です。

マイナス金利の今。経済学者的・計量経済学的なアプローチで、ECB(ヨーロッパ中央銀行)に続き、日銀もマイナス金利の導入に踏み切りました。世の中がホントにおかしくなるのではないかと懸念するべきでしょう。マイナス金利になると、今の1万円でなく、1年後の1万円の方がいいという理屈になります。つまり、貯金したら罰金が課せられます。すごく不思議なコンセプトなのです。現在価値が逆さまになります。もちろん、意図としては、「そんなことなら今お金を使おうぜ」という気持ちを企業や消費者にさせ、経済を刺激し、決定的なデフレ脱却をさせるのが狙いです。理論としては分かりますが、個人は消費するのではなく将来を心配して消費を抑え、企業は競争している限り、製品を過剰供給し、資本に対するリターンを下げる、という結果にならないでしょうか。

現時点ではまだ、国の金利(公定歩合や日本国債など)がマイナスになる一方、企業ローンや個人ローンなどは(リスクがある分)、マイナスにはなりませんが、限りなくゼロに近づきます。ただ元本を返す能力は大して変わらないため、ゼロ金利・マイナス金利でも、お金を借りられる人・企業の数がそのまま推移することでしょう。つまり、お金を借りる必要がない人が、より安く借りられるようになりますが、もともと要らないでしょう! では、お金をジャブジャブに供給にしても経済効果があるのでしょうか。上述した理論のような効果があるすればリターンの低下となり、効果がないとすれば、なんで導入するの?という疑問が浮上します。

その答えはECBのドラギー総裁が出しました。2016年3月10日の記者会見では、「効果があるかどうかについては議論できるが、やらなければもっと早く、もっと酷くなったに違いない」といった趣旨の発言をしました。(記者会見の完全放送バージョンをご覧ください、議事録は編集されています。)つまり、政治的にはヨーロッパも日本もあまり動けないので、中央銀行が肩代わりをするということですが、金融政策だけでは経済が良くならないと思います。片翼だけで飛行機を離陸させるのと一緒でしょう。飛べませんよね…

北方領土と総選挙

安倍首相はプーチン首相と会談したいようですが、これは総選挙前に北方領土問題を解決したいからではないか、と思っています。もし、解決ともなればアベノミクスはともかくとして、政治的には非常に盛り上がります。この盛り上がりの勢いを総選挙に回すことで、慰安婦問題、領土問題を終了させた首相として支持を高め、このタイミングで総選挙、そしてすぐに憲法見直しのための国民総選挙、を実施しようという目論見ではないでしょうか。日本の政治の専門家でもない僕ですが、最近このように感じています。

ちなみにリマインダーとして、以前ブログの中で紹介した内容を改めてまとめますね。

北方領土のうち2島を返還する条件に、「大量の天然ガスのロシアからの購入」、を提案するというのが僕のアイデアです。日本はもちろん4島返還を望んでいます。ただロシアは、2島返還までの話はする可能性はあるけどそれ以上なら応じられない、というスタンスはずっと変わらないんじゃないか、と思います。ということであれば、残りの2島に関しては、漁業資源特区といった自由特区にして、日本とロシア双方の旗を揚げ、50年後あたりで、静かに日本に返還します。ロシアとしては、資源を大量に売ることができたうえに、50年も占有していなかった島を、あとでそっと渡してあげることくらい、そんなに国民感情を刺激することでもないだろう、と思います。これならば、事実上は日本の領土になりますよ、と日本側は宣言できますし、ロシア側でも全部は返していないからね、と言えます。ひょっとすると、この話は実現するかもしれないな、とひとりで勝手に想像しています。ま、あまり期待せずに静観しています。

ベア相場の始まり

皆さんご存知の通りでしょうが、ここ2か月で世界の株式市場、とりわけ日本市場はかなり下落しました。この下落に関して調べてみたところ、15%超の下落は過去40年くらいを振り返れば、何度かあったことでありまして、そのうちここ20年くらいに多く生じているのですが、15%超の下落から回復したことは、なんと一度もなかった、ということがわかりました。

最近のTOPIXや日経平均株価チャートをみれば一目瞭然かなと思いますが、とうとうベア相場が始まった、と言っても過言ではないでしょう。ちょっと回復したかなと見える状態が少し出ては、その直後にボロボロになる、というのがこれまでによく生じているパターンです。例外としては、1987年10月のブラックマンデー、もう少し過去になると1973年のオイルショックのときからは、回復しております。

1987年は、アメリカ経済が堅調で、日本でいよいよバブルが始まるというまさにイケイケの相場のとき、1970年代のときも、オイルショックはあったものの、日本経済が伸びている最中で、まさに成長ストーリーがあったんです。こういった観点から過去と比較して相場を見ると、今回の下落相場からの回復は、経済環境からしても、ちょっと考えにくいかなという気持ちになっています。

原油価格下落と中東情勢、サウジアラビアについて

原油価格の下落については様々な議論があり、アメリカ、ロシアも含めた原油戦争が繰り広げられているとか、いろいろ言われています。

中東情勢の専門家ではないですが、サウジアラビアなどの情勢を見る機会も増えています。興味深いことに、中東で革命が起きた国は原油が無い国、つまり貧困な国から順番に内戦が起きてますね。ところが一方、ヨーロッパでの革命の歴史を見ると、革命がおこる条件と国の豊かさにはそれほど関係性がありません。そこで思い出したのは、1917年に『国家と革命』でレーニンが提議した革命が起きる3つの条件です。

  • 支配者階級が、いままでどおりの形で、その支配を維持することが不可能になっていること
  • 被抑圧階級の欠乏と困窮が従来以上に厳しくなっていること
  • 大衆の諸活動が著しく高まってきていること

中東情勢を見ると、もともと、一つめの条件にあてはまるようなことがあちこちで起きていました。サウジアラビアについては、原油価格が下落することにより、現金の支給、公的サービスが無料、という現状を維持することができなくなってしまう可能性もあります。政治的にも、王室に様々な変化があって、今まで通りのやり方では国の運営が難しくなってきています。

次に二つめの条件について。中東で革命が起きた国は、貧困や汚職が酷いなかでおきています。僕の知り合いの某企業の社長が中東に行った際、サウジアラビアに寄ったのですが、
インフラの状態、例えば町で走る車を見ると先進国とは程遠い、と驚いていました。どうやら、ある程度の現金支給はされているものの、それほど豊かでハッピーな状態にある国民でもないようです。少しでも財務的、金銭的な状況が悪化すると、国民は、もう嫌だ、となることがあり得るのではないでしょうか。

そして三つめの条件について。強い警察、軍隊、支配のもとで国を運営していることで有名なサウジアラビアですが、国内でも少し焦りが出ているのではないでしょうか。支配がそれほど十分に強く及んでいない可能性もあり得るので、サウジアラビアを起点とした革命に近い状態が勃発しやしないか、ということを懸念しています。

以上、3つの条件にあてはまってきているのじゃないか、と感じ、中東情勢に注目しています。

コモディティ価格の不透明な動き

今回の相場で、短期的な展開で興味深いものがあります。それはコモディティ商品。相場を動かす要因のうち、何がどこでどう起きているのか、前回の金融危機のときと比べると、ずいぶんわかりにくい状況です。

というのは、リーマンショックの時は、不安を示すデータが目の前にあり、不思議なことに、みんなによく見える状態で問題が展開していたんです。いろんなブログでもその問題については書かれていて、データのうえでも悪い要素があることを示していました。それでもああいう結果になってしまったのですけどね。

今回のコモディティ価格の状態については、データやブログからの情報を、いろいろ調べてみたものの、全体が見えなくて、一番キーになる情報が足りないのです。例えば中東諸国、原油生産国の状態がどこまでまずいのか。極めて困っていると考えられるロシアの状況がほとんど見えないし、中国の実態も依然として不透明です。どこかで債務不履行が発生するとしても、それがどこから出てどこで終わるのか、読みきれない。特にシェールガス関連はインパクトの想定が難しい。他のコモディティ関連では、グレンコアといった商社も、一度警告ランプが出ました。その後、静かになりましたが、実態がどうなっているのか、十分見えないままです。

最近のコモディティ価格の動きは、キーとなる情報が足りないため、不透明感ゆえに不思議な感じ。チャートで見ると2008年の大きな下落は、まさに今年の1月のような揺れで始まったので要注意じゃないかな、と感じます。
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コーポレートガバナンス・コードと会社予想の関係

日本企業の来期の利益成長は、鈍化するとの予想でコンセンサスができつつありますが、この理由は、日本企業の姿勢が保守的だからではないかということが一番大きい、と思っています。業績がそれほど悪くない会社ですら、為替効果を除いても、慎重論が出ているような気がします。これには、コーポレートガバナンス・コードが影響もしているだろう、というのが僕の推測です。

コーポレートガバナンス・コードの適用で社外取締役が増えると、企業統治の観点から、積極的な会社計画を出すのが適切なのかどうなのか、いいのかそれで、という話が以前より出てくるだろうと思います。そういう話が出ると、来期の予想は失敗の責任追及がおきにくくて、意見のまとまりやすい「慎重なモノ」にしておこう、となりそうです。

さらには、為替に目を転じると、さすがに117円/ドル近辺の現状で、120円/ドルになるだろう、と言える勇気のある人は少ないので、115円/ドルをベースにしていた企業が来年も同程度とか、あるいはもう少し保守的に、となる可能性があります。そうすると、いろいろ考慮したら減益予想になってしまった、というケースもあるでしょう。

この通りになってしまうと、日本の株式市場は2016年5月から、サヨナラです。Sell in May and go awayがそのまま適用されることになってしまいます。5月までに残っているのは2月~4月だけですが、日本相場がそれでも上がる要素は4つあると考えています。

- アメリカの株式市場が上がり、日本市場も一緒に上がる
- 安倍首相が必死に何かしたくて、アベノミクス宣言する(でも甘利大臣問題が=>余り大臣の問題へ?)
- 夏まで何もしないと言われている黒田総裁が、4月までにサプライズで何かを出す(明日?!)
- 円安になり、相場を押し上げる(でもなんで?結局、黒田氏次第)

春までは雲がかかったような状態で、これにさらに1月の恐怖が加わってますので、先行きが読みにくくて気持ちの悪い相場となっています。とはいえ、急に相場が反転すれば、春のラリーの可能性が再浮上するのも早いでしょうから、まだ絶望的になるほどではない、かと思います。

バブル崩壊後の株式市場動向から思うこと

日本のバブル崩壊以降では、アメリカの株式市場が下がっている時期に、日本の株式市場が上がっていたことは一度もありません。その逆にアメリカ市場が上がっているのに、日本市場が下がっていたことはあります。

従って現在の、日本の株式市場の相場を考えようとすると、アメリカの株式相場についてと、日本の市場の固有の要因を見なければならないのですが、正直なところ、アメリカについてはよくわかりません。

ただ、アメリカの上場企業の利益が増えていないというのは事実です。シェールガス関連企業の倒産リスク、信用リスク、もっと言えば、コモディティ関連企業のリスクが増加しているのは間違いありません。大手石油会社からは配当カットの話も出ています。

さてアメリカはともかく、日本はどうなんでしょうか?
弊社の顧客企業から聞こえてくるのは、「最近は円安効果が完全に止まっている。更に円安が進まない限り、今年の前提と比較して若干の円高気味になっている」という話です。確かに120円/ドルと比べると、今は117円/ドル付近となっています。

国内の実需については、来年に向けてなら割と楽観的な意見が多いですが、現在の状況は、それほど良くないという話です。調子がいいのは自動車関連くらいでしょうか。

来期の売上の伸びについて、僕は少し慎重派です。中国の成長鈍化が日本に対する影響はそれほど大きくないだろうと言われているものの、影響がなくはないです。東南アジア諸国や、コモディティをつくる産油国を含めた国々についても同じことが言えて、日本は直接的にも間接的にもある程度影響を受けるはずなので、成長鈍化へのインパクトが結構あるんじゃないかと思っています。

コンビニとアルコール飲料の購入

今年も年の瀬となり、皆様もアルコールを摂取する機会が多かったことかと思います。今回はアルコール飲料の購入の際に思ったことをお話しします。

大手コンビニ3社(ファミリーマート、ローソン、セブンイレブン)とも、未成年者へのアルコール販売防止策として、販売時のシステムを一応導入していますよね。このシステムでは、客がアルコール飲料を購入する際、購入者は画面上で購入可能な年齢であることを申告する確認ボタンを押すことを要求される場合があります。

3社の違いは以下の通りです。
ファミリーマートでは、「年齢確認が出来る証明書を掲示する必要がある可能性がある」という文章が画面表示されるだけで、ボタンを押す必要はありません。
一方、ローソンとセブンイレブンでは、誰かしらが確認ボタンを押す必要があります。ローソンはたいていの場合、店員さんが押してくれます。ところが、セブンイレブンの場合は店員が押すことはなく、購入者自身が押さなければならないようです。

外国人インバウンド観光が増える状況ではあっても、アルコール飲料販売に関する注意書きは日本語のみで書いてあり、口頭でも日本語で、「押してください」と伝えています。外国人観光客がよくわからないような顔をしたら「Please push this.」と言ったりしているのを見たことがあります。観光客からしてみれば意味が全然わからないのに、どうして押せと言っているのだろう、と不可解に思うことでしょう。

そんな状況のなか、最近、ローソンで僕がアルコールを買おうとしたとき、店員さんが確認ボタンを押してくれないことがあって、軽く言い合いになりました。「そもそも僕が未成年に見えるの?」と年齢40歳前後で身長190センチ近い僕が言うと、「いや、見えません」とすぐに回答が返ってきましたが、「それじゃ、なんで押さなきゃいけないの?」と聞けば、「みんな自分で押しているから…」と返される始末でした。

日本ではルールをつくるのは、細かいですが、ルールの運用が画一的で、何のためにルールを作ったのかが適用時に配慮されていない感じのするときがあります。坊主頭の人がプールで水泳をするときにも、ルールだからと水泳帽を着用させることが当然のようにある、という話になります。コンビニで誰が見ても未成年ではない人に、成年確認ボタンをわざわざ押させるのは、馬鹿げているんじゃないかな。でもみんな仕方ないから押すんですよね。

このボタンを押すカロリー消費量を考えると、一日に何百万回も実施されているとすれば、この動きのために日本中で消費されているカロリーだけで新幹線を動かせるくらいになるんじゃないでしょうか?日本全体のシステム構築コストも結構かかったことでしょうにね。

この確認ボタンを押す作業は、店員さんとトラブルになる可能性があるし、外国人観光客が購入する際のことばの問題も前述のとおりなので、現在のやり方を変更した方がいいんじゃないかなと思います。決して、自分がローソンで不愉快な思いをした腹いせで言っているわけではありません。ひとつの問題提起です。

ただ、未成年へのアルコール販売は店側に罰則がありますから、自衛手段としてシステムが設けられたのだろう、仕方がないな、ということは、成年の僕には理解できます。この程度のことでイライラしないように、と思いつつ、こんな面倒な手続きを毎回するんだから、もう少し余分に買っておこうか、とついつい買いすぎてしまわないためにも、気持ちを穏やかにしているほうがよいでしょうね。

認知症患者と運転免許について

少し前ですが、認知症患者による交通事故がまた起きました。これは高齢化社会というだけが原因で起きている問題ではないと思います。

現在の制度では、免許証の更新期間が満了する日の年齢が70歳以上で免許の更新を行う方は、高齢者講習を受けます。さらに75歳以上の方は、講習の前に認知機能についての講習予備検査があります。しかし、この検査の結果如何に関わらず、免許証は更新されるということです。安全第一の日本がなぜこんな不可解なことをしてしまうのでしょうか。

実はこれ、地方の公共交通網の脆弱さが原因かと思います。つまり、地方在住の高齢者にとって、自分で運転する自家用車が生活の「足」となっています。こんな状態なので、高速道路を逆走したり、アクセル、ブレーキを踏み間違えたりして、他人の命を危険にさらす認知症患者でも、生活のために自動車を運転しているのです。

車道と歩道の区別もできない人の免許を更新し、1トン超の鉄器を与え、他人の命を奪うリスクを高めてもいいのか?というのが大きな疑問です。高齢者も視聴しているから、テレビ各局の報道もすごく遠慮がちで「地方にいる高齢者の生活の足を奪うことができないから、あなたの家族が犠牲になりました」と遺族に言うことは絶対にないでしょう。

2年くらい前にも同じような事故で奪われた命があり、その時も報道がありましたが、状況は全く変わっていません。政府が税金を使いたくないからでしょう。

以前、ラトビア国内をドライブしていたとき、森の中にまでバス停があったことに驚きました。一日一本程度の運行であれば、それほどコストがかからないでしょうが、日本では地方交通網の整備は自治体負担となるため、今のところ認知症高齢者の免許を更新するという不思議な世界になっているんじゃないでしょうか。

認知症の怖いところは自覚がないところです。高齢者講習や講習予備検査は、認知症患者に自覚してもらい、自ら運転免許を返上してもらうためにあると思いますが、生活の「足」がなければ運転を辞める人はでないでしょうね。