堅調な相場はいつまで続くのか

僕は普段それほど短期的な話はしないのですが、今非常に面白いのはやっぱり相場の堅調さです。日中足を見ると、結構な資金が市場に流れているのがわかります。主力銘柄の株価が上がり、バリュエーション的にすでに十分だと思われる銘柄でも上がっています。

個人的には給与所得が、少しずつ上がり始めたかなっていう気がするし、経済も決して悪くない。業績も悪くないし、法人税も下がるので、全て良い話ですが、こういった話がどこまで織り込まれているかって、そろそろ考えなきゃいけないかなって思っています。

不思議なくらいに堅調な今回の相場を見ていると、どこで調整が来るのかなって思ったりします。これまでの経験としては、調整が来るとみんなが思っていても来ない時もあるので、正直、答えはわからないです。この凄まじい買いがどこで、どういったカタチで止まるのか、を見たいという意味で今月の相場には注目しています。

不動産銘柄について思ったこと

大手不動産銘柄とREITの株価があがっています。これは日銀がREIT株を買っているのが一番大きな理由ですが、日銀の買いに乗じて地方銀行など様々な投資家から買いが入っています。中堅不動産銘柄もこれにつられて上がっているものの、更に上がる余地があるのではないかなと思ってます。

ある不動産会社から、賃料が少しずつ上がっている、という話を聞きましたが、不動産会社の多くは中期経営計画に賃料上昇の影響をフルには織り込んでいないように思います。

別の話として、オフィスビルの空室率について一般的に言えることがあります。利益が好調な企業はグレードの高いオフィスに移転する傾向があります。景気回復に伴いAクラスのオフィスビルの空室率が改善すると、一時的にグレードBクラスの空室率が悪化することになります。Bクラスに入っていた好業績会社がAクラスへ。ただ、まだそこまで余裕のない中小企業はBとCのままで、引っ越しません。中小企業の場合、大体業績の改善にはラグがあるからです。

ただ、より最近の話としてBクラスのオフィスビルでも空室率がじわじわとではありますが、改善してきているのではないかというのが僕の見解です。

空室率が改善すれば、ある程度賃料が上がります。ある不動産会社に賃料が上がるのかを聞いたところ、まだ上がってはいないという回答をもらいました。ただ、しばらく経つと、あ、上がっちゃいました!と仰るでしょう。商人は損していつか倉が建つ。

レナウン急騰

何が起きたんでしょうね?この銘柄名を見ると先日の辛い記憶が蘇ってきます。

皆さんご存知の通り、先日驚きの動きを見せたのがレナウン(3606)です。3/30、3/31と株価が急騰しましたよね。

ブルームバーグなどの情報によれば、急にインバウンド銘柄として認められたようです。会社に問い合わせたところ、「何も材料が見当たらないし、業績もよくない」という答えが返ってきましたが、そんな状態で株価が急に倍になるというのは、ちょっと考えにくいです。何らかのカタチで情報漏えいがあったのではないかと疑ってしまいます。何があったのか後に判明するかもしれませんので少し楽しみにしています。

日本の草食系男子について

先日テレビを見ていて面白いなと思ったのが、日本の若い人たちが性に関心がないという話です。いわゆる、草食系男子、これが進化した断食系、絶食系といわれる男性についてですね。

私の世代にとっては、若い男性が性的な関係を持っていないということが信じられないことですし、私より若い世代でもきっと驚くでしょう。やはり、国や世代、場合によっては男女の違いで全く別次元のような価値観をもつ人々が世の中にいることはおもしろいな、と思います。と同時に、日本の成長についてまた気になり始めました。

個人的に、性欲と出世欲というのは少なからず関係していると思っているので、性欲が少ない人はお金にも興味がないんじゃないか、と感じるんです。なぜなら、もっと食べたい、生きたい、欲しいというような欲望はもともと身体から生まれるからです。

しかし、20歳代ですでに女性への関心がないのは、きっと女性と付き合うことや関係を持つこと自体が面倒くさいと感じているからなのではないでしょうか。面倒な関係を味わうこともなければ、味わいたくもないという意識が、お金についても同じように働いてしまうと、日本経済についても草食のままだと思います。

このまま断食系/絶食系男子が増えたら、経済活動の低迷につながることもあり得ますよね。これから日本はどうなるんだろうと、ふと心配になりました。

ROE6%以下の良銘柄を発掘!

最近市場を見て気になることが一つあります。日本企業が本格的に変わっているのか、カタチだけで変化を見せかけているか。そればっかりは分かりませんが、バランスシートの強い、キャッシュリッチな会社が自社株買いや株主配当を大幅に増額する時の市場の反応が新鮮です。市場が大きな拍手をしているような感じに見えます。もちろん先頭を走っているといえるのは、稼いだ利益を全て株主に分配するといったアマダさん。

市場がこんな状態であれば、僕からシンプルなスクリーニングを提案します。まず日本の上場企業から銀行を除いて、JPX400に入るような大企業に絞るため時価総額を500億円以上、さらにROEが低い銘柄に絞り、ROE6%以下。そして、有利子負債がなく、一応利益が出ている、さらにEV/EBITDAが6倍以下の銘柄でスクリーニングをし、以下の10社を選びました!

パナソニック(6752)、ニコン(7731)、ベネッセホールディングス(9783)、イビデン(4062)、セイノーホールディングス(9076)、東亞合成(4045)、富士機械製造(6134)、タカタ(7312)、ジョイフル本田(3191)、ドトール(3087)。この中で少し気になるのはタカタさんだけで、他の企業は、堅調な業績をあげています。それぞれの株価は結構上がっているように見えますが実はまだ割安なんです。今回のスクリーニングのポイントは、時価総額500億円以上、ROEが大体4.5~6%、EV/EBITDAが6倍を切るため、割安で買収しても楽しい、つまりあまり深く考えなくてもアンダーバリューな銘柄ですね。これらの銘柄がアマダさんのような動き出すのは時間の問題でしょうか?

エストニア国民IDカードの使用感

今回はエストニアの国民IDカードの話です。エストニアに帰国したとき、改めてシンプルでやりやすい制度だなぁ、と思いました。

電子式の国民IDカードの普及率はエストニアが世界一で、8割を超えています。このカードは生年月日などの基本的な個人情報を自己管理できるアイテムなのです。

実は、エストニアで販売されているパソコンにはカードリーダーがセットになっているんです。
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そのため、自分のIDカードとソフトさえあれば銀行取引などを自宅PC、またはスマホのようなモバイルを使うことで簡単にできます。選挙に参加することも、会社を立ち上げることもATMからお金を引き出すのと同じぐらい手軽にできるのです。

ここで疑問に思ったのが、どうしてこのシステムをそのまま日本で使うことができないのか、ということです。日本でマイナンバー制度を導入するためにはかなりの投資が必要になります。それなのに情報を一括で管理する仕組みを使わないのは、一気に何十万人という雇用がなくなってしまうからなのかな、と思います。エストニアのシステムを導入すれば、今は複雑なシステムもシンプルになり、税金や手続きにかかる時間も節約されるのだから、いいこと尽くしのはずです。やっぱり、自分の情報に手軽にアクセスできる世界のほうがいいな、と感じました。

ニュースから感じたロシア情勢③

ロシアのテレビを見ていたら、ロシアはやっぱり支配者の下でまとめられている国だなぁ、と改めて感じました。ヒトラーのときのドイツとはちょっと違うのですけど、ナショナリズムの温度が明らかに高くなってきているということで、少し異様な感じです。基本的に自国が辛いんだけど、自国の政府がダメだからどうにかしようと抵抗するのがそもそも難しいんです。よく言われているのは、中国の反日デモと同じ現象で、自国の政府に対して不満をぶつけるより、日本に対してそうする方がすごくやりやすいんですよ。政府も他国批判をサポートしているので、フラストレーションやストレスの発散になるところが似ているのではないかなと。だからロシアでもますます対外批判が強くなっているかなと思うんです。

ウクライナ側も無邪気な天使ではなく、そもそも自国内で飛行機を飛ばし一般市民まで爆弾を投下したりしています。このやり方がかなり酷いのでロシアからすると、ロシア語を話す人達を守りたい気持ちがあるというか、同じ民族が差別されているように見えるんでしょうね。だから解決の出口がないなぁという感じです。

ウクライナ情勢のリスクは残っているものの、意外と今は地域が限定されていて、恐らく現状以上にも以下にもならないでしょう。もし本格的に戦争をすればロシアは勝てますが、明らかに今の原油価格と全体の状態からすると戦争をするメリットがロシアにないんですよ。戦争をすれば、ロシアがイランのような扱いになるので望ましい方法ではなく、ウクライナを不安定な状態のままにさせておきながら破綻を待つのがベストな戦略だろうと考えているのかもしれません。そうであれば、1~2年は膠着状態が続くんじゃないかなというのが僕の印象です。

ニュースから感じたロシア情勢②

正月、ロシアのテレビを見ていました。ヨーロッパやアメリカとの経済パフォーマンスを比較してみるとロシアは大変だなぁ、ということがわかります。そしてまたウクライナの経済も大変だということも。ロシアに対する依存度が高いし、今回の紛争が始まってからかなり悪くなっています。データを出したらすぐにわかると思いますが、経済も財政もかなり厳しいようです。

ロシアとしては自国の状況が厳しいので、ならばウクライナをもっと厳しい状況に追い込み、ウクライナの国民に「やっぱり新しい政府は無力で何もできない、失敗している」と思わせようというのが狙いなのかもしれません。そして一方、ヨーロッパやアメリカがウクライナに経済支援をすることはないでしょう。ウクライナは底なし沼みたいなもので、たぶん何兆円と経済支援したとしても何の効果も期待できないでしょう。そんな状態ゆえに、みんなが「ウクライナ、頑張れ!」と口では言ってはいるものの、お金はまず入らないだろうと思います。

さらに言えば、ウクライナは元々、ガバナンスの精神が欠けていることで悪名高い国なので、国際社会から経済援助などがあったとしても、そのお金がきちんと経済成長に使われるかは大きな疑問です。援助がなされてもロシアが懸命に邪魔をしますので、実際に色々なことを望ましい方向に実現するのは難しいんです。ということを考えると、これをゲームとして見れば、ロシアは全然負けていません。ルーブル安による影響で輸入品が非常に高くなり、インフレになっていますが、政治的に安定していれば、国民としては、それほど悪い情勢だとは感じていないと思われます。

「ロシアが大変なことになっているのはアメリカのせいなんだよ」というのがロシア政府のプロパガンダです。今、ロシアではテレビや新聞など主要なメディアは完全に政府にコントロールされています。若者はインターネットを使って様々な情報を手に入れてはいますが、一般大衆は基本的にテレビの情報に影響されますので、プーチンの支持率は上がる一方です。経済的にはかなり苦しくなってきていますが政治が安定していればとりわけ大きな問題として取り上げられることはないでしょう。そうは言っても、もし原油価格が30ドル/バレル以下の状態が3年以上続いたりすれば、ロシア経済はメディアが取り上げざるを得ないような相当まずい状況になってしまうのではないか、と思います。

ニュースから感じたロシア情勢①

年末年始にエストニアに滞在していたとき、ロシアのニュースを見ていて感じました。原油価格の下落がロシア経済に影響を与えてきているな、と。

まずはウクライナの話です。ロシアとしてはウクライナがEUやNATOに入るのは絶対避けたいのです。これは感情的なことではなくて、元々のロシア帝国時代と同じで、自国防衛上の観点からロシアは自分の周りに緩衝国を作りたいわけですよ。昔のような、明らかな冷戦状態ではありませんが、西側諸国のイギリスやアメリカなどは、ロシアにとってはやっぱり敵だということなんですね。だからこれらの敵と自国の間に緩衝国をつくりたいと思っている訳です。ウクライナは明らかに緩衝国だったんですが、EUやNATOに入ってしまうと、それが突然敵になってしまうということなんですね。

そもそもウクライナは東スラヴ三国の一つです。あと二つはロシアとベラルーシ。ウクライナはロシア帝国時代に(厳密にいうとロシア帝国以前の14世紀から)マロロシア=「小さいロシア」と呼ばれていました。因みに、ベラルーシは白いロシアを意味します。つまり、ウクライナ人は民族的にロシア人に極めて近いし、昔からロシア人には弟扱いされています。ロシア帝国時代のロシアはこれらの地域を自分の家の庭みたいな感じで見ていて、ウクライナが国として独立したときは仕方なく認めましたが、コントロールはしようとしていました。以前、クリミアを手放したときも、仕方ないことだと思ってはいたものの、面白くないと感じていたんです。

今回は、東ウクライナがロシアの一部になるか、不安定な現状のままでずっと続くか、どちらかのシナリオになると思うので、ロシア側から「もういいです。やめましょう。」ということにはならないでしょうね。

ガバナンスコードと日本企業

今回はガバナンスコードの話です。ガバナンスコードについてポジティブ サプライズが少しずつ出ているんですね。細かくて専門的な話に聞こえますが、今回ガバナンスコードの草案に社外取締役という概念が入っています。さらに、二人以上の社外取締役を義務付ける、ようです。あまり、すごさがピンとこない方もいるかも知れないですけど、これは結構すごいことです。

何がすごいかというと、場合によって日本企業の経営が変わるぐらいにまでなりそうです。なぜかというと、今、委員会設置会社というのがあって、社外取締役を中心にメンバーを組んで役員報酬を決める報酬委員会をつくる仕組みがあります。この仕組みの何がすごいかというと、基本的に社長がきちんと仕事をしているかどうか社外の人たちが監督するということで、そうすると社長のモチベーションを高めようという動きが出てきます。つまり、日本の社長がもっとお金もらえるようになるのではないかと。この社長の報酬が会社のパフォーマンスにリンクし始めるのではないでしょうか。

一方で、自分が立てた目標を達成しない場合には社外の人たちによって更迭される可能性もあります。これらは、すぐにはわかりにくいことですが、非常にポジティブなことだと感じています。もちろん、ROEの目標設定とかも明らかになるし、ROEを設定するのに貯めすぎたキャッシュとかを増配などによって株主に返す。これも、引き続き大きなテーマとなります。今回はキヤノンが結構増配したり、株が4%上がったりというのを見ますと、市場に小さなポジティブ・サプライズの重なりがおきるでしょう。